整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

片麻痺の肩脱臼では胸部X線が有用


今日の午前は外来でした。
脳出血後の片麻痺のある方が転倒してから肩が痛いとのことで初診されました。


単純X線像を確認すると、麻痺側の肩関節脱臼骨折を認めました。
骨折自体の転位はさほど無いのですが、上腕骨頭は前方に脱臼しています。


脳出血は10年以上前の発症で、それ以来片麻痺が残っています。
MMTはほぼゼロなので、もともと肩関節が脱臼していた可能性があります。


今回より前に肩関節の単純X線像を撮影していないので、もともと脱臼していたか否かは不明です。骨質が非常に悪いので、整復操作によって二次骨折を併発する可能性があります。


新鮮な肩関節脱臼骨折であるのなら、いくら麻痺側とはいえ脱臼整復が必要となります。しばらく考えていると、以前に胸部単純X線像が施行されている記録があることを発見しました。


今から3年前に内科を受診した際に撮影されたようです。この胸部単純X線像を確認すると、半分ほどしか写っていませんでしたが、肩関節が前方脱臼していることが分かりました!


今回の外傷は肩関節脱臼骨折ではなく上腕骨近位端骨折ということになり、肩関節脱臼の徒手整復は不要となりました。整復操作による二次骨折併発の危険性が高いのでホッとしました。


今回のように片麻痺の患者さんはもともと肩関節脱臼を併発していることが多いですが、新鮮例か否かを判断するのに、以前施行した胸部単純X線像を確認することは有用だと思いました。



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下肢壊疽の切断高位の選択


高齢化に伴い、ASOや糖尿病の患者さんに併発する下肢壊疽が増加しています。
特に昔は、「喫煙」が今と違って社会的に受容されていたことも一因だと思います。


下肢壊疽を発症する方の多くは20本以上/日 × 数十年間という方であり、
このような方々はCOPDも併発しているので、条件が非常に厳しいことが多いです。


壊疽は足趾から発症するケースが多いですが、足趾の壊疽だからといって安易に足趾切断術を施行してしまうと、創が治癒しないためより中枢での再切断術を余儀なくされることがあります。


私の感覚では壊疽に対して手術を施行すると、創が治癒しないために連鎖的に中枢方向に向けて再切断術を施行せざるを得ない傾向にあると思うのです。


このため、私は切断術施行に対しては非常に慎重になります。壊疽部に感染を併発しておらずミイラ化しているようなケースでは、できるだけ手をつけない方針にしているのです。


そして、切断高位も非常に悩ましいと思います。あまりに壊疽部に近いと創が治癒しないのですが、中枢過ぎるとオーバーインディケーションの誹りを受ける可能性があります。


患者さんの状況によりますが、私は下記のようなアルゴリズムにしたがって切断高位を決定しています。膝窩動脈が閉塞しているか否かで判断しており、皮膚温は参考程度に留めています。


足趾壊疽

膝窩動脈を触知    → 足部切断
膝窩動脈を触知せず → 下腿切断


足部壊疽

膝窩動脈を触知    → 下腿切断
膝窩動脈を触知せず → 大腿切断


少し、オーバーインディケーションかも知れませんが、切断高位で迷ったらできるだけ中枢での切断を心掛けています。ASOベースの場合には義肢での歩行よりも創治癒が最優先ですから。



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局所麻酔では、ちょっと無理です・・・



昨日は、殿部軟部腫瘍の切除術を行いました。
MRIでは脂肪腫疑いだったのですが、サイズが10cm×7cm×5cmとかなり大きかったです。


脂肪腫でもサイズが5cmを超えると、悪性化する可能性が出てくるので切除術が推奨されます。この旨を患者さんに説明したところ、できれば局所麻酔で・・・と希望されました。


気持ちは分からないことも無いのですが、これだけ大きな軟部腫瘍を切除するためには相当量の局所麻酔薬が必要となります。局所麻酔薬の極量を超えてしまう可能性が高いです。


また、腫瘍の裏側は筋膜と軽度癒着していることもあるため、剥離することが結構難しいこともある印象です。このため、少し大袈裟かもしれませんが全身麻酔での手術を選択しました。


脂肪腫などの一般的で、ごくありふれた腫瘍の場合には、術中出血等で困ることは少ないので、安易に局所麻酔での手術を考えがちです。


しかし、病理検査で悪性だったことも考慮して、できるだけ被膜を破らないように手術を行う必要があります。そのためには充分な鎮痛が不可欠であり、全身麻酔の方が望ましいと考えます。


たかが軟部腫瘍、されど軟部腫瘍です・・・。
特にサイズの大きい軟部腫瘍では慎重に治療にあたるべきだと思います。



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 骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)


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