整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

脛腓間スクリューの抜釘時期


足関節脱臼骨折では、Lauge-Hansen分類が有名です。この分類のPEでは、脛腓骨間の下腿骨間膜が断裂しているため、脛腓間スクリュー(positioning screw)が必須です。


脛腓間スクリューを使用する目的は、断裂した下腿骨間膜の修復ですが、最も重要なことは遠位脛腓靭帯の解剖学的修復です。靭帯が修復されるまでスクリューは必須です。


それでは、脛腓間スクリューを抜釘する時期はいつごろがよいのでしょうか?荷重歩行によって、脛腓間スクリューが破損する可能性は約30%と高率です。


スクリューの破損を恐れていると、いつまで経っても荷重歩行を開始できません。そうなると骨萎縮や関節拘縮が進行して足関節機能が低下します。


脛腓間スクリューを抜釘する時期を考える上で、何を最優先させるかがポイントになります。やはり最優先は、遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜の解剖学的修復です。


遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜破損が、再度破綻しないようにするためには、最低でも3ヵ月経過してから脛腓間スクリューを抜釘するのがよいといわれています。


手術後1~2ヵ月では、脛腓間の靭帯構造が再度破綻する可能性があるからです。もちろん、脛腓間スクリューを留置したまま荷重歩行を開始するので、折損リスクが高まります。


しかし、遠位脛腓靭帯および下腿骨間膜の解剖学的修復が最優先課題なので、脛腓間固定スクリューが折損するリスクには、ある程度目をつぶるしかないのが現実です。





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ガイドラインからみた抗菌薬の使い方


日整会誌90: 1031-1035 2016に興味深い論文がありました。
ガイドラインからみた抗菌薬の使い方 です。要旨を下記に記載します。



SSI発生率

  • 人工関節置換術 1.36%
  • 脊椎instrumentation手術 3.73%


原因菌
  • MRSAやMRSEの割合は、人工関節置換術 46%、脊椎instrumentation手術 44%


術前の鼻腔内および全身の皮膚の除菌の有効性
  • ムピロシンによる鼻腔内除菌がSSI発生を低下させる可能性を示す報告が多くみられます。
  • APICの2010年のガイドラインでは、選ばれた手術にMRSA保菌者の除菌を行うとしています。
  • 除菌方法としてムピロシンの鼻腔内塗布1日2回+2~4%クロルヘキシジン(ヒビテン)の全身浴を術前5日間施行とあります。


抗菌薬の1回投与量
  • 標準投与量を推奨
  • CEZでは、体重80kg以上で2g、体重120㎏以上で3gを推奨する勧告があります。


投与間隔
  • CEZの場合、2~5時間ごとに追加投与して組織内濃度を有効域に保つ必要があります。


投与期間
  • 耐性菌の増加を防ぐために、術後48時間以内を推奨


抗菌薬の選択
  • ブドウ球菌に対して抗菌活性が強く安全性の高いCEZが第一選択


抗MRSA薬の予防投与の適応
  • MRSA保菌者に対しては、鼻腔の除菌+β-ラクタム系薬+VCM
  • β-ラクタム系薬を併用するのは、VCMのMSSAに対する抗菌力がやや弱く、グラム陰性桿菌に対する抗菌力が無いからです。




ガイドラインを拝読した私の感想は、鼻腔内除菌が再評価されていることに対する驚きでした。頻回に易感染性の患者さんの手術を担当する私としては、今後検討したい課題です。






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高齢者さえ減少する恐怖のシナリオ


先日、大学の同窓会がありました。
さまざまな科で、さまざまな立場の同級生が集まって楽しかったです。


同級生の約半分が集まったのですが、その中のひとりに非常に遠方で開業している友人が居ました。彼が開業しているのは、東京からの時間距離が最も遠い地域のひとつだそうです。


その地域には医療機関も少ないようなので、競合が無くてウハウハだろうと、私が冗談半分で言ったところ、ちょっと笑いながらも深刻そうな返事が返ってきました。


ここ最近になって、患者数が激減してきているとのことです。そして、その理由は高齢者人口の激減だそうです。若年者ではなく、高齢者であることが恐ろしい点です。


若年者人口の減少は、彼が開業する前から問題となっていました。しかし、最近では地域に若年者がほとんど居なくなったので、若年人口減少は問題にならないそうです。


それよりも、地域の高齢者がどんどん天寿を全うされていくため、高齢者人口までも激減しているのです。新たに高齢者になったであろう人は、既に都会に引っ越しています。


新たな高齢者の供給が途絶えている中で、既存の高齢者が天寿を全うされていくため、地域から人が居なくなってきているのです。既に、その地域では高齢者施設もガラガラだそうです。


その地域で開業している友人は、既に投資資金を全て回収しているため、この状況を静観しているそうですが、私はこのような地域が出現していることに寒気を覚えました。




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内閣府ホームページ 平成24年版 高齢社会白書(概要版)より転載




上のグラフは内閣府が発表している、超長期での日本の人口動態です。日本の総人口は2010年ごろにピークとなりましたが、高齢者人口のピークは2040年ごろです。


2040年以降は、総人口はもちろんのこと、高齢者人口まで減少していくという衝撃的な状況です。実際に発生するインパクトは、その時まで体感できないと思っていました。 


しかし、2017年現在の日本においてさえ、既にそのような「高齢者人口までもが減少していく社会」 が存在しているのです。そして、社会へのインパクトは想像以上でした。


確かに都市部においては、まだ20年程度の猶予期間はあります。しかし、既に地方の一部では、現在進行形で地域社会の崩壊が進行しているようです。


高齢化社会は、高齢者が増えるから医師は安泰だと思っているお気楽な人でも、高齢化社会の極期以降は高齢者さえも居なくなっていくことを認識しておくべきだと思います。


あと20年もすれば、日本という国全体がこの大きな問題と向き合わなければいけません。 そして、このことは確実に発生する近未来でもあるのです。





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