医師が作成する診断書は、私たちが想像する以上に大きな力を持っています。私たちは単に書類を作成するだけで、その後どうなっているのかについては無頓着です。
書類を作成しても、介護保険の主治医意見書などを除けば、結果についてのフィードバックがほとんど無いことが原因です。
しかし、私たちが何気なく記載した内容が、他人の人生や生活に重大な影響を及ぼす可能性が高いことは知っておくべきだと思います。少し例示してみます。
交通事故の診断書(警察提出分)
傷病に対する治療期間で、加害者の行政処分の程度が決まります。特に医師が記載する治療期間見込みが重要で、3カ月、30日、15日がキーワードとなります。
上記の期間以上か未満かで加算点数に大きな差があります。治療期間3カ月以上では加害者の免取の可能性が高まります。
例えば、橈骨遠位端骨折はリハビリテーションまで含めて3カ月ぐらいかかりそうだから、診断書に3カ月と記載しよう等は控えた方がよさそうです。
交通事故や労災事故の診断書
交通事故や労災事故で1ヵ月に1度まわってくる鬱しい診断書ですが、転帰欄に「治癒」と記載してしまう人がときどきいます。
転帰が治癒になると、後遺障害の賠償金額が激減してしまいます。一生懸命治療したのに最後に患者さんを地獄に叩き落すことになるので、くれぐれも「中止」にしてください。
上記の例では、数百~数千万円単位の医原性(?)の二次的被害が発生してしまうので注意が必要です。医師の作成する書類には大きな力があることをくれぐれもお忘れなく!