整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

周術期のセフェム系抗菌薬の投与方法

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先日、人工関節全置換術後の術後抗生剤投与が査定されてしまいました。私は、CEZ 1g×3回×2日間をルーチン的に投与していますが、1日3回は多いと指摘されました。


術後2日間という投与日数が多過ぎるという指摘であれば、反論しにくいので飲まざる得ないです。しかし投与回数への指摘だったので再審査請求することにしました。


再審査請求の文面は下記の如くとしました。


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セフェム系などのβラクタム系抗菌薬は、最小発育阻止濃度(MIC)を超える薬物濃度時間依存性の抗菌薬です(Time above MICタイプ)。したがって、βラクタム系抗菌薬は、MICを超える血中薬物濃度を維持する必要があります。


セフマゾンの半減期は約2.5時間なので、正常腎機能の方において1日2回投与ではMICを超える血中薬物濃度を維持できません。したがって、感染に対して脆弱な人工関節置換術後に対する周術期のセフマゾン投与では、1日3回投与が妥当な投与回数だと判断いたしました。

 

βラクタム系抗菌薬はTime above MICなので、分割投与が原則(1日2回投与よりも3回もしくは4回投与が理想的)です。薬物動態・薬力学に基づいたセフマゾン投与回数の妥当性につき、再度御検討いただけますよう何卒お願い申し上げます。


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CEZの3回/日投与が否定されるのは心外ですが、投与日数に関しては1日(もしくは24時間以内)でもよいかもしれません。これについては私の中で、今後の検討課題です。


急性期DVTには下大静脈フィルター(VCF)によるVTE予防が有用

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Medical Tribune Vol.45, No.50で、深部静脈血栓症(DVT)および肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism: VTE) に関する記事がありました。

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急性期DVTには下大静脈フィルター(VCF)によるVTE予防が有用
第53回 日本脈管学会


福島県立医大心臓血管外科の若松大樹先生の発表です。


・ DVTの積極的治療はカテーテル中心だが、EBMが不十分との指摘がある

・ 今回、DVTへのカテーテル血栓溶解療法(CDT)や下大静脈フィルター(VCF)の成績を検討した

・ CDT 36例と全身性血栓溶解 72例の比較では、血栓縮小率が良好だったのはCDT群で75%、全身性血栓溶解群が25%と、有意にCDT群の成績が良好であった

・ VCFは永久留置型を72例、一時留置型を40例に用いた

・ 一時型の挿入期間は5.0±4.7日(4~12日)で、血栓捕捉率は13%だった

・ VCF群のVTE非再発率は一時型100%、永久型95%だった

・ ガイドラインでは、一時型の適応を数週間で急性VTEが予防できればよいとしているが、福島県立医大では1~2週間の範囲で考えている

・ VCFはVTE予防に効果的で、特に急性期DVTでは一時型が有効だった

・ CDTの適応はより限定されてきている

・ 急性期DVTの侵襲的な治療時にはVCFによるVTE予防が不可欠

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DVTやVTEは整形外科医にとっても、非常に関心の高い領域です。ただ、整形外科医がカテーテルを挿入して治療するわけではないので、いまひとつ具体的に治療法をイメージできていませんでした。


近位型DVTは頻度的に少ないため下大静脈フィルター(VCF)に至る症例はあまり多くないですが、急性期の近位型DVTでは一時型下大静脈フィルターが推奨されているようです。


※ 私の運営している
ホームページでVTEについてまとめています。

高齢者下肢骨折に対する当日手術での病態把握法

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先日、高齢者の大腿骨転子部骨折に対して基本的に当日手術を施行していることを書いたところ、患者さんの病態把握に困ったことは無いかというコメントがあったので、私が注意している点をまとめてみました。


まず、どんな状態であっても基本的には手術を施行する前提なのですが、抜管不能な重度肺炎や心筋梗塞・脳梗塞の超急性期症例については、さすがに手術は行いません。


私が重視している術前検査のチェックポイントは、①心機能 ②高度弁膜狭窄症の有無 ③腎機能 ④重度肺炎の有無 です。


① 心機能 
  心エコーをルーチン化して、駆出率(EF)を参考にしています。
  おおよそ60%以上あると安心ですが、ときどき40%ぐらいの方がいるので注意が必要です。

② 高度弁膜狭窄症の有無
  心エコーをルーチン化しています。 高度弁膜狭窄症が存在すると補液に細心の注意が必要です。

③ 腎機能の把握 
  手術まで時間が無いので、eGFRを参考にして補液量や抗生剤の投与量を調整しています。

④ 抜管不能な重度肺炎の有無 
  肺炎は、大腿骨近位部骨折の主な受傷原因のひとつなので、常に注意が必要です。
  胸部X線像、血液生化学で確認しています。
  疑わしい場合には胸部CT施行の上、内科医に相談です。


要は、通常の術前検査(血液生化学・胸部X線像・ECG・動脈血ガス分析)に加えて、心エコーをルーチン化しているだけです。幸い心エコーをスムーズに施行してもらえる体制なので、病態把握に時間を取られることはあまりありません。


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