高齢者の大腿骨近位部骨折の治療で悩まされる機会は多いです。骨折そのものというよりも、肺炎等の骨折に併発している疾患が問題となります。
私が先輩医師から教わった理論(?)は、高齢者に肺炎併発 → しんどくてふらついて転倒 → 大腿骨近位部骨折 というパターンです。
このパターンを踏襲している症例では肺炎を発症しているので、手術を施行することが難しくなります。
こうなってくると麻酔科医師との協議になるのですが、誰かがリスクを取る必要があります。手術を敢行するなら主治医と麻酔科医師、待機するなら主治医のリスクとなります。
そして肺炎といっても軽度から重度までさまざまです。重度の肺炎ではさすがに手術を施行しようとは思いません。しかし、軽度の肺炎ではどうでしょう?
私は、手術可能か否かの判断材料のひとつとして、患者さんが「しっかり話をすることができるのか否か」を重要視しています。
重度の肺炎患者さんでは会話をすることもできない一方で、軽度の肺炎では呼吸苦も無いため大きな声でしっかり会話できるからです。
先日も肺炎を併発している超高齢者の大腿骨転子部骨折患者さんの手術可否について悩みました。この方は大きな声でしっかり話すので、思い切って手術を敢行しました。
麻酔科医師には迷惑な話だと思いますが、患者さんのことを最優先で考えるとそのような結論になりました。この判断法の勝率は高く、まだ重篤な状態になった患者さんは居ません。
もちろん、個人レベルのエビデンスの無い経験則であり、今後地雷を踏む可能性もあります。しかし医師である以上、ある程度のリスクを引き受けて治療を行うべきだと思います。
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手根管症候群の保存治療って、案外難しいと思います。困ったら手術すればよいという意見もありますが、若年者の手根管症候群はどうでしょう?
若年者の手根管症候群は大半が産褥期ですが、そうではない患者さんも散見します。いくら簡単な手術とはいえ、若年者に手術を施行するのは少し抵抗があります・・・
そこで、保存治療と格闘するのですが、なかなか決定打は無いという実感です。手根管症候群の本態は屈筋腱滑膜炎です。このため保存治療の目的は、いかにして滑膜炎を抑えるかです。
屈筋腱滑膜炎を制御することが治療目的となるので、プレガバリン投与でしびれを緩和する等の行為は治療ではないと考えています。私が実践しているのは下記の手順です。
- 外固定
- 手根管内ストロイド注射
まず最も手軽な、手関節の夜間シーネ固定から治療を開始します。この際のポイントは、手関節をやや背屈させて固定することです。中間位固定よりも症状緩和効果を期待できます。
1~2週間様子をみて改善が無ければ、手根管内へのストロイド注射を施行します。この際、皮内針(27G針)を長掌筋腱の尺側から手根管内に注射するとよいでしょう。
夜間シーネ固定も併用して、更に1~2週間様子をみて様子を見ます。若年者の場合は、この治療法で何とかしのげることが多いです。
若年者の手根管症候群は何かと気を使いますが、なんとか泥縄式(?)で対応しているのが現状です。もう一手ほど、何か効果的な治療があればなと感じています。。。
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先日、相互リンクいただいているとぜんな脊椎外科医のブログに興味深い記事がありました。知らなかった!英語プレゼン用のカンペ作成。発表者ノートの機能。 です。
私は、発表者ノート機能というところに釘付けになりました。これはすごい機能ですね! 読み進めていくと、とぜん先生はMacユーザーのようです。
私はWindowsユーザーなので、ちょっと難しいかもと思って調べてみると、どうやらWindowsでも発表者ツールというものがあるようです。
こちらのリンクが一番分かりやすかったのでご参考にしてください。この機能があれば、その発表に慣れていなくても、何とかプレゼンテーションできそうな気がします。
聴衆用と同じスライドをみながら発表するときの問題点は、次に来るスライドを予測しづらいことです。現スライドを説明しながら「次は何だたっけ?」と考えるのは難しいのです。
5分ぐらいの発表なら力業で覚えることも可能でしょうが、発表時間が2時間を超えるような講演では、物理的にすべてのスライドを暗記するのは不可能です。
実は11月26日に、品川で長丁場の講演をするのですが、初めて講演する内容なので(というかまだ資料を作成していないです・・・)かなり不安でした。
今回教えていただいた発表者ツールがあれば、初めての講演内容でも何とか乗り切れそうな気がします。とぜん先生、ありがとうございました!
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