昨日の午前は人工股関節全置換術(THA)でした。スリムな方だったので手術自体は容易でしたが、ポリエチレンライナーの設置時に少々手こずりました。
この方は、寛骨臼後壁の坐骨部を中心に骨棘が発達していました。この部位の骨棘自体はよく見かけるのですが、この骨棘が邪魔をしてポリエチレンがカップ内にどうしても収まらなかったのです。
1mmアンダーまでしかリーミングしないので、カップ辺縁上に骨棘が覆い被さって物理的にポリエチレンライナーを設置できないことがあります。
例えばZIMMERのContinuumなどではポリエチレンライナーとカップ辺縁がツライチなので、骨棘が邪魔をしてポリエチレンライナーを設置できなくなることは無さそうですが、通常の機種では注意が必要です。
どうしてもポリエチレンライナーを設置できない時には、カップ辺縁の状態をよく観察する必要があります。骨棘がカップ辺縁を覆っていることが原因であればノミで切除すれば一件落着です。
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初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です
人工股関節全置換術
関節リウマチは、整形外科の中でも進歩が特に著しい分野のひとつです。まさに日進月歩なので、評価の確立した成書も無い状況です。日本リウマチ学会専門医でも月単位での情報をアップデートしている医師はそれほど多くないのではないでしょうか。
このような状況なので、初学者が関節リウマチをマスターしてアップデートしていくのは少しハードルが高くなってきています。現在のMTXと生物学的製剤を基本にした関節リウマチの治療体系を俯瞰するために 『 関節リウマチ治療実践バイブル 』は最もお勧めの書籍です。
関節リウマチ治療実践バイブル
著者は、慶応義塾大学の竹内先生です。4月に京都で開催された日本リウマチ学会の書店ブースで先行発売されているのを見かけました。何気なく手に取った本書を通読して、その完成度の高さに驚きました。本書が発刊されるまでは、リウマチ病学テキスト
全く知識が無い方は、本書をまず2~3回通読してみることをお勧めします。もちろん、ほとんど頭に残らないでしょうが、その後は臨床の場で不明な点がでてきたら本書を用いてその都度習得していけばと良いと思います。
★★★ 管理人 お勧めの医学書 ★★★
総論 (診察・診断、治療全般、骨折・外傷、周術期管理)
各論 (手の外科、肩関節、脊椎、股関節、膝関節、足の外科、腫瘍)
その他 (関節リウマチ、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症、専門医試験)
今日の午前は、人工股関節全置換術(THA)でした。
80歳台の外傷性大腿骨頭壊死症(大腿骨頚部骨折後)でした。
M3の掲示板で同様のケースに対してTHAを施行するか人工骨頭挿入術を施行するかで議論があり、人工骨頭挿入術を推す意見が優勢だったことに驚いた記憶があります。
股関節外科医の感覚ではTHAですが、普段やり慣れていない術者からすると人工骨頭挿入術を選択する方が無難なのかと妙に得心したものです。
そうは言っても人工骨頭挿入術はthigh painの原因になるため、股関節周囲の感覚の鋭敏さが残っている若年層(70歳ぐらいまで)はTHAの方が不定愁訴が無く成績が良いと思います。
さて、解剖学的に正常に近い寛骨臼ではいくつかピットフォールがありますが、特に大腿骨頭壊死症で寛骨臼の変形が軽度の場合には、荷重部のリーミングが不十分になることが多いです。
前後壁で固定されているので問題無いといえば無いのですが、単純X線像的には少し気持ち悪さが残ります。大腿骨頭壊死症では患側の脚長が長くなりがちなので、寛骨臼上方のリーミングを心掛けたいものです。
また、高齢者の場合はリーミングの際に軟骨下骨を貫通すると脆弱な粗鬆骨が全周性に露出してしまい、カップの固定性が不良になることがあります。したがって軟骨下骨はある程度温存するようにリーミングの深さを調節する方が無難だと思います。
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