先日の外来で、50歳台女性が母趾基部の疼痛を主訴に初診されました。診察すると母趾基部の腫脹・発赤・圧痛を認めます。外傷歴はありません。
女性であることが引っかかりましたが、まず痛風発作を疑いました。血液生化学検査ではUA 6.7mg/dlでした。痛風発作中はUAが下がりがちなので、合点のいく数字でした。
何の疑いもなく「痛風ですね」と言いそうになって、単純X線像を見てハッと息を飲みました。それが下の画像です。
正面像で2つの種子骨の下に何かクルミのような像を認めます。ただ、正面像では正直に言って見逃しかけました。
しかし、斜位像では、種子骨よりも中枢側にはっきりとした石灰沈着象を認めます。これは、痛風ではないかもしれない・・・。
身体所見では、母趾MTP関節を背側から触っても圧痛はないようです。ただし、MTP関節足底側のやや中枢側に激烈な圧痛点があります。
足部の側面像を撮影して、確定診断にいたりました。長母趾屈筋腱に発生した石灰沈着性腱炎です。う~ん、痛風発作と非常に紛らわしい。
しかし、これを誤診してしまうと、長期間に渡る高尿酸血症の治療を開始してしまう危険性があります。たまたま気付いてラッキーでした。。。