整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

急性期DVTには下大静脈フィルター(VCF)によるVTE予防が有用

このエントリーをはてなブックマークに追加

Medical Tribune Vol.45, No.50で、深部静脈血栓症(DVT)および肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism: VTE) に関する記事がありました。

----------------------------------------------------------------------

急性期DVTには下大静脈フィルター(VCF)によるVTE予防が有用
第53回 日本脈管学会


福島県立医大心臓血管外科の若松大樹先生の発表です。


・ DVTの積極的治療はカテーテル中心だが、EBMが不十分との指摘がある

・ 今回、DVTへのカテーテル血栓溶解療法(CDT)や下大静脈フィルター(VCF)の成績を検討した

・ CDT 36例と全身性血栓溶解 72例の比較では、血栓縮小率が良好だったのはCDT群で75%、全身性血栓溶解群が25%と、有意にCDT群の成績が良好であった

・ VCFは永久留置型を72例、一時留置型を40例に用いた

・ 一時型の挿入期間は5.0±4.7日(4~12日)で、血栓捕捉率は13%だった

・ VCF群のVTE非再発率は一時型100%、永久型95%だった

・ ガイドラインでは、一時型の適応を数週間で急性VTEが予防できればよいとしているが、福島県立医大では1~2週間の範囲で考えている

・ VCFはVTE予防に効果的で、特に急性期DVTでは一時型が有効だった

・ CDTの適応はより限定されてきている

・ 急性期DVTの侵襲的な治療時にはVCFによるVTE予防が不可欠

----------------------------------------------------------------------


DVTやVTEは整形外科医にとっても、非常に関心の高い領域です。ただ、整形外科医がカテーテルを挿入して治療するわけではないので、いまひとつ具体的に治療法をイメージできていませんでした。


近位型DVTは頻度的に少ないため下大静脈フィルター(VCF)に至る症例はあまり多くないですが、急性期の近位型DVTでは一時型下大静脈フィルターが推奨されているようです。


※ 私の運営している
ホームページでVTEについてまとめています。

高齢者下肢骨折に対する当日手術での病態把握法

このエントリーをはてなブックマークに追加


先日、高齢者の大腿骨転子部骨折に対して基本的に当日手術を施行していることを書いたところ、患者さんの病態把握に困ったことは無いかというコメントがあったので、私が注意している点をまとめてみました。


まず、どんな状態であっても基本的には手術を施行する前提なのですが、抜管不能な重度肺炎や心筋梗塞・脳梗塞の超急性期症例については、さすがに手術は行いません。


私が重視している術前検査のチェックポイントは、①心機能 ②高度弁膜狭窄症の有無 ③腎機能 ④重度肺炎の有無 です。


① 心機能 
  心エコーをルーチン化して、駆出率(EF)を参考にしています。
  おおよそ60%以上あると安心ですが、ときどき40%ぐらいの方がいるので注意が必要です。

② 高度弁膜狭窄症の有無
  心エコーをルーチン化しています。 高度弁膜狭窄症が存在すると補液に細心の注意が必要です。

③ 腎機能の把握 
  手術まで時間が無いので、eGFRを参考にして補液量や抗生剤の投与量を調整しています。

④ 抜管不能な重度肺炎の有無 
  肺炎は、大腿骨近位部骨折の主な受傷原因のひとつなので、常に注意が必要です。
  胸部X線像、血液生化学で確認しています。
  疑わしい場合には胸部CT施行の上、内科医に相談です。


要は、通常の術前検査(血液生化学・胸部X線像・ECG・動脈血ガス分析)に加えて、心エコーをルーチン化しているだけです。幸い心エコーをスムーズに施行してもらえる体制なので、病態把握に時間を取られることはあまりありません。


シュートの際に発症した下前腸骨棘裂離骨折

このエントリーをはてなブックマークに追加

今日の午前は外来でした。年末年始明け最初のメインの外来だったので結構大変でした。
14歳中学生の男子が、サッカーでボールを蹴った瞬間から左股関節の痛みが続いているとのことで初診されました。


単純X線像では、
下前腸骨棘裂離骨折を認めました。大腿直筋の起始部が下前腸骨棘なので、ボールを蹴る際に大腿直筋の力に負けて起始部から裂離してしまったようです。似たような外傷に、縫工筋による上前腸骨棘裂離骨折があります。


診断は股関節正面像(もしくは骨盤正面像)で判断できますが、転位が少ない場合には骨盤斜位像が必要となります。ちなみに骨盤第一斜位は右側が上(管球側)で左側が下(カセッテ側)、骨盤第二斜位はそれぞれが反対になります。


治療は、骨癒合するまでの6週間程度はサッカーを休んで安静にしてもらうだけで問題なしです。決して珍しい外傷ではなく、私の場合では年に数名程度は外来で診る機会があります。


全く患者層が違いますが、高齢の関節リウマチ患者さんで骨脆弱性に起因した上前腸骨棘裂離骨折
(腸骨翼骨折)もたまに診る機会があります。受傷機転は転倒しそうになって踏ん張った際に、縫工筋に引っ張られて骨折を併発する方が多いように感じます。

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

医療研究を身近な存在とし、医療の未来を作る


管理人の著書

161228 【書影】医師の経済的自由
管理人によるケアネット連載コラム
log_carenet

医師のためのお金の話

管理人による m3.com 連載コラム
管理人も参加しているオンラインサロン
勤務医のための資産形成マニュアル
築古木造戸建投資マニュアル

医師のための築古木造戸建投資マニュアル 1
REITで実践する不動産投資セミナー
190122
医師のための 金融資産形成術


配送無料! 医学書 購入サイト
プロフィール

自由気ままな整形外科医

・医学博士
・日本整形外科学会専門医
・日本リウマチ学会専門医
・不動産投資家
・超長期金融資産投資家
・ビジネスオーナー
・宅地建物取引主任士

QRコード
QRコード
記事検索
メッセージ
免責事項
免責事項に関して明示することで、当ブログの利用者は以下の事項に同意した上で利用しているものと考えます。 ここに書かれる意見には管理者のバイアスがかかっています。 利用者が当ブログに掲載されている情報を利用した際に生じた損害等について、当ブログの管理者は一切の責任を負いません。 また、当ブログの情報は、あくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行ってください。 また、当ブログは医療関係者を対象にしています。それ以外の方が、当ブログの情報から自己判断することは極めて危険な行為です。 必ず医療機関を受診して専門医の診察を受けてください。 当ブログの内容は、予告なしに内容を変更する場合があります。