整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

THA: カップの固定性不足は焦ります

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昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
いわゆる急速破壊型股関節症(RDC)で、高度の骨盤後傾の方でした。


このような方は骨質が悪い方が多く、慎重な手術操作を求められます。寛骨臼の骨質も不良なことが多く、リーミングでは細心の注意が必要です。


リーミングのファーストコンタクトでリーミングの力を7割ぐらいに抑えておかないと、あっという間に内板まで到達することがあるのです。昨日の方もこれに該当する骨質の悪さでした。


もちろん慎重にリーミングしたので、肉眼的に骨質が不良なこと以外は寛骨臼内の掘削状況は良好でした。しかしカップのインパクションを行っても充分な固定性が得られなかったのです。


THAにおいて、カップの充分な固定性を得られないことは術者にとって結構なプレッシャーになります。このような場合、私なら下記のような対応を採ります。


 ① その場所でリーミングしなおす
 ② 上方に向かって新たにリーミングする
 ③ スクリューのみで固定する。


今回の方は寛骨臼の破壊のため骨量が乏しく、①と②を選択しづらかったので③を選択しました。 カップの固定性が悪くても3本のスクリューがしっかり利けば術直後から全荷重可能です。


ただしスクリューのみで固定する場合、1本目のスクリュー挿入時にカップ外側傾斜角が大きくなることがあります。これを避けるため1本目挿入後にホルダーを装着して角度を確認します。


実際、本日の方も1本目のスクリューを挿入した段階でカップの外方傾斜角が大きくなったので、一度スクリューを抜去してからカップを至適角度に設定してインパクションし直しています。


THAは術者に要求される技術がTKAと比べて高いです。ラーニングカーブの立ち上がりが遅いので、100例近い症例を経験するまでは慣れた股関節外科医と手術を行う方が無難だと思います。



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鎖骨外側端骨折にはフックプレート!

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昨日の午後は鎖骨外側端骨折の手術でした。
使用した内固定材料はクラビクルフックプレートで、HOMS技研のHAI肩鎖関節プレートです。


形状がアナトミカルでシンセスのクラビクルフックプレートよりも薄いのがメリットです。鎖骨プレートは皮膚直下に設置するのでプレートの厚みは重要なポイントです。


デメリットはロッキングスクリューを使用できないことです。しかし鎖骨外側端骨片は粉砕していて固定できないケースが多いので、ロッキングスクリューでなくてもほとんど問題ありません。


プレートデザインはシンセスと変わりませんが、通常よりも短いドライバーが用意されています。鎖骨のプレート固定術では、顎が邪魔でスクリューの刺入方向が制限されるので便利です。


クラビクルフックプレートを用いた骨接合術は簡便であり、鎖骨外側端骨折の治療を非常に容易にしてくれました。手術のポイントはフック高の選択であり、やや低めのフックをお勧めします。


ついついフックが高くなりがちですが、日本人の場合は12mm~15mmがほとんどです。18mmを選択すると整復位が充分でないことがあるので注意が必要です。



※ クラビクルフックプレートを用いた鎖骨遠位端骨折の手術記録のテンプレートが必要な方は、私の
運営するサイトから自由にダウンロードしていただけます。ただし、手術記録のテンプレートはあくまでも目安としてご利用いただくものであり、医療行為は自己責任で行っていただけますよう重ねてお願いいたします。



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患者さんへの感情移入は控えめに・・・

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現在、骨髄炎の治療で難渋している方が居ます。この方には何度か掻爬洗浄術+抗生剤含有セメントビーズ留置術を施行していますが、未だに感染の鎮静化を得られていません。


まだ若くて一家の大黒柱なので早く社会復帰してもらいたいのですが、あと一歩のところで感染の鎮静化が得られないのです。肉眼的な術中所見では明らかな感染徴候を認めなくなりました。


しかし、術中培養でどうしても細菌が検出されるのです。この方は腐骨部に巨大な骨欠損があるので、最終的には感染を制御できた段階で自家骨移植をする必要があります。


この方の”早く社会復帰しなければ”という焦りが、私にも手に取るように分かります。最終的に自家骨移植を施行する時期は私が判断するので、この方の人生を背負っていることが辛いです。


辛さに負けて判断が甘くなりがちですが、ここはぐっと我慢だなと思っています。初回手術は他院なのでまだ気持ちは楽ですが、夜に自宅でくついでいるときにも思い出して悩むことがあります。


しかし、考え過ぎて患者さんに感情移入し過ぎると、自分も辛くなるので治療判断を誤る原因となります。これを防ぐには、少しドライになることも必要だなと最近思うようになりました。


辛い状況であっても客観的に冷静に判断を下すことは、なかなか難しい場合が多いです。しかし、それができることもドクターに要求される資質のひとつかなと思いました。



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