整形外科医のブログ

中堅の整形外科医が、日々の気付きを書き記します。投資の成功で働く必要が無くなりましたが、社会貢献のため医師を続けています。

TKA: 皮切の小ささは無意味

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昨日の午前は人工膝関節全置換術(TKA)でした。使用機種は、ライト・メディカル(WRIGHT MEDICAL)のEVOLUTIONでした。なかなかデバイスが洗練されていて、使い勝手が良い機種だと思います。


さまざまなインプラントが発売されていますが、インプラント間(デバイス間)の差はマイナーチェンジ程度の差でしかないので、やはり術者の技量が手術成績に大きく影響すると思います。


一昔前に流行ったMISが今ではあまり顧みられることが少なくなった最大の原因は、侵襲の小ささに拘り過ぎて下肢アライメントや靭帯バランスのチェックが疎かになりがちな点だと思います。


昨日は12cm程度の皮切でしたが、やはり術野の展開が難しかったです。基本的には3名で手術を行っていますが、1名でも熟練していないドクターが居ると手術時間が延長してしまいます。


皮切が小さくなるほど、レトラクターの使用方法が重要となります。具体的には内側の展開を行う時には内側を中心にレトラクターを引いて、外側のレトラクターはほとんど抜けない程度に掛けているだけといった感じです。


MISは小さな皮切の手術ではなく内部の軟部組織に対する低侵襲手術であるとよく言われますが、インプラントを至適な靭帯バランスで設置するためには、軟部組織に侵襲を加えざるを得ません。


したがって、やはり分かりやすい”MIS”は、小さな皮切の手術ということになってしまいます。レトラクターの使い方次第でかなり皮切を小さくできますが、良い方向への長期成績には全く影響しないので、やはり普通に展開した方がよいかなと感じました。




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尺骨鈎状突起骨折の治療

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昨日の午前は、出張先での外来でした。
仕事中に転落して右手をついてから肘が痛いという方が初診されました。


単純X線像で、尺骨鈎状突起骨折を認めました。上腕骨内顆からMCLにかけての腫脹・圧痛も認めたため、肘関節の前方+内側の複合靱帯損傷(不安定症)と診断しました。


このような前方+内側不安定性をきたす肘関節損傷は尺骨鈎状突起骨折例に多いと思います。尺骨鈎状突起の転位が大きい症例ではもちろん手術適応です。


前方から展開して尺骨鈎状突起をHerbert screw等で内固定しますが、術野が深くて神経血管束を避ける必要があるので私は苦手意識があります。麻酔が掛かっているので、MCLはついでに縫合することが多いです。


しかし、今回は鈎状突起の転位がほとんど無かったため、保存治療を選択しました。保存治療を行う場合には最初の2週間程度は肘関節90度でギプスシーネ固定とします。


そして受傷後1週の段階で、支柱付きの肘関節装具の採型を行います。この装具には伸展制限をつけることができるようにストッパーをオプションで追加します。


2週間でギプスシーネを除去してから、この装具を3ヶ月程度常用するのです。当初は鈎状突起の転位を防ぐために、最初は屈曲45~60度までの伸展制限をつけておきます。段階的に伸展制限を軽減していき、最終的には受傷後6週程度で伸展制限を無くします。


肘関節を長期間固定すると鈎状突起は骨癒合しますが、肘関節に高度の拘縮を残します。肘関節前方および内側の不安定性の治療をしつつ可動域を保つには、早期から支柱付き・伸展制限付き装具装着下に積極的な肘関節可動域訓練を行う必要性があるのです。


難点は、この支柱付き・伸展制限付き装具が約9万円と非常に高価なことです。労災や交通事故の場合には問題になりませんが、自分の健康保険を利用する場合には価格のことも含めた話をするべきだと思います。




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小児モンテジア骨折の治療

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昨日の午後のことですが病棟回診をしていると、近くの小学校から遊具から転落した8歳の小学生が肘を痛がっているでの診察して欲しいという電話が掛かってきました。


診察すると肘関節外側から前腕尺側にかけて腫脹があったので、モンテジア(Monteggia)骨折を疑って前腕の単純X線像をオーダーしました。案の定、Bado type 1のモンテジア骨折でした。


新鮮例の場合、整復は比較的容易なので保存治療が可能なケースが多いです。前腕を回外位として骨間膜を緊張させて前腕を長軸方向に牽引しながら尺骨短縮や屈曲変形を矯正します。


同時に母指を用いて脱臼している橈骨頭を押し込むと整復されます。整復後はギプス固定を行いますが、前腕回外位で骨間膜を緊張させて肘関節屈曲位(100度程度)にして固定します。


充分な仮骨形成が見られるまで4~6週間程度ギプス固定を施行しています。私は橈骨頭の再脱臼が怖いので、受傷後1~2週程度は単純X線像での確認を頻回に行っています。


成人のモンテジア骨折では橈骨頭の整復位保持が困難なので手術治療が必要になることが多いですが、小児の新鮮例であれば保存治療が充分に可能だと思います。


尚、陳旧例は治療が厄介です。よく言われるように尺骨骨折に目を奪われて橈骨頭脱臼を見逃しがちなので、尺骨単独骨折では橈骨頭の脱臼が無いかを常に確認する必要があると思います。




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