整形外科医のブログ

投資の成功によって30歳代で経済的自由を達成しました。 医師起業家として年商10億円企業を目指して日々奮闘中

THA: 考えることは皆同じ

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先日、人工股関節全置換術(THA)を施行しました。
アプローチは、いつものように内閉鎖筋温存の後外側アプローチです。


内閉鎖筋温存 - コピー


このアプローチは股関節後方の安定性を得ることができるものの、寛骨臼のリーミングやポリエチレンライナーの設置が難しいことが難点で、術中にくじけそうになることが多々あります(笑)。


術野の展開を得にくい理由は、股関節後方の短回旋筋群の半分以上が温存されているため、大腿骨を前方に充分排除することができないからです。


展開が不十分だとインプラント設置不良の原因となります。苦労して股関節後方軟部組織を温存しても、インプラント設置不良があれば股関節の不安定性が出現するため本末転倒です。


やはり、インプラントの至適角度での設置が最優先だと思います。この相反する命題を解決するために、内閉鎖筋下縁を切離後に短外旋筋群を持ち上げて関節包のみT字状切開しています。


以前は内閉鎖筋の中央で切離していましたが、高率に中枢側内閉鎖筋が断裂するので内閉鎖筋を全て温存する方向に舵を切りました。その代わりに関節包をT字状に切開するのです。


このような試行錯誤によるマイナーチェンジの結果、上に提示した画像のように一部がささくれ立っているものの内閉鎖筋はしっかり温存されています。


一方、関節包のT字状切開によって、通常の後外側アプローチにはほど遠いものの、大腿骨の前方排除が少し容易になって寛骨臼の展開が若干改善されます。


まだ論文になっていないようですが、今年の股関節学会では同様に後方軟部組織を温存したアプローチを試行錯誤しながら行っている施設が多かったです。考えることは皆同じですね(笑)。



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                                    人工股関節全置換術




滑液包炎によるモートン病

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先日、半年以上続く前足部の疼痛と第3・4足趾のしびれを主訴とした
40歳台の女性の方が、近くの整形外科医院から紹介受診されました。


この方は慢性腰痛症に対して既にトラムセットを4錠処方されています。それにも関わらず前足部の疼痛が続いているとのことでした。よほど痛みが強いことが伺えます。


診察すると、第3・4足趾間に腫瘤(?)を触知します。軟部腫瘍を疑ってMRIを施行したところ、脂肪抑制画像で第3・4足趾間の軟部組織のびまん性の高輝度変化を認めました。


前額断 - コピー


冠状断 - コピー




境界は不明瞭で、どうも軟部腫瘍ではなさそうです。どんなに考えても診断をつけることができなかったので、思い切って大学の足の外科の先生に画像を持参して相談してみました。


すると、「あ~、滑液包炎によるモートン病だな」と即答されました。
中足骨頭間滑液包炎によるモートン病は結構よくあるらしくて珍しくないとのことでした。う~ん、バカ丸出しですね(笑)。


そして、中足骨頭間滑液包炎でモートン病を併発している場合には、念のために関節リウマチの検査もしておくべきとのアドバイスもいただきました。治療はステロイドの滑液包内注射です。


モートン病の診断さえできなかったことは少しショックでしたが、まぁ自分の実力ですから仕方ありません。これからも精進しようと思います。


※ 2015.12.21追記 今回の結果はこちら




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「病は気から」が実証された!

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整形外科医として日常診療をしていると、
ちょっと変わった雰囲気の患者さんを診察する機会があります。


今まであまり気にしなかったのですが、三重大学の笠井裕一先生の講演を拝聴したところ、どうも他科と比べて整形外科ではそのような患者さんを診察する機会が多いそうです。


笠井先生は、三重大学附属病院に来院した外来患者3743名について、整形外科の患者群と整形外科以外の患者群の2群に分けて、モーズレイ性格テストの結果を比較検討しました。


結果は、整形外科患者群では10人中1人が性格偏倚者(神経症的傾向が異常に高いか、あるいは虚偽回答の傾向が異常に高い人)で、整形外科以外患者群と比べて2倍多かったそうです。


そして特に整形外科疾患の中では、脊椎疾患と関節リウマチの患者さんに性格偏倚者の頻度が高かったです。この結果は、私たちの日常診療から受ける印象とほぼ合致すると思います。


笠井先生は、性格偏倚者は運動器疾患を訴えて整形外科を受診しやすいのではないかと推察されていました。


一方、慢性疼痛患者さんの性格をモーズレイ性格テストの結果から3つに分類しています。

1. 自己治癒力希薄型
2. 自己治癒力空転型
3. 自己治癒力潜在型


①は、慢性疼痛患者さんの中では最も頻度が高く、強い不安や抑うつがみられ、自分はダメだと悲観的になっている傾向にあります。抗うつ薬や抗不安薬が有効なケースが多いそうです。


②は、激情型の性格であるために医師-患者間のトラブルを生じやすいです。医師の粘り強い努力によて良好な医師-患者の信頼関係を築けば症状が改善していく可能性があります。


③は、労災や交通事故による補償を切られたくないため自己治癒力をわざと使わない状態です。したがって患者さんの社会的・経済的立場が改善すれば、症状も改善することが多いです。


よく、これだけのことを研究したなと感心しましたが、全て私たち整形外科医が日常診療で感じることばかりではないでしょうか。「病は気から」 とはよく言ったものです。



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