整形外科医のブログ

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やはり中高年の膝関節鏡手術はダメ

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先日、外来をしていると2ヵ月前に他院で両膝関節のOAに対して鏡視下デブリドマン手術を施行された60歳台の患者さんが紹介状を携えて初診されました。


手術を受けたのに痛みが続いていることが、病院を変えた理由です。診察すると確かに両膝とも水腫と熱感があります。単純X線像をみると両側ともKL grade 4でした。


う~ん、KL grade 4の患者さんに鏡視下デブリドマン手術を行う意義があるのでしょうか?先日の話題でもあったように中高年者の膝の痛みに対する関節鏡手術の効果はわずかです。


今回は両側同時でしたが、両側とも手術効果は無さそうです。これまでの前医との信頼関係は不明ですが、術後2ヵ月で転院するのはちょっと普通ではありません。


さて治療ですが、紹介元の病院は目と鼻の先ほどしか離れていない病院です。少し迷いましたが、患者さんと相談の結果、一旦前医に返っていただくことにしました。


幸い、患者さん的には前医もやぶさかではなさそうです。術中の所見も不明であるため、やはり執刀した医師が最後まで責任を持って治療にあたるべきだと思います。


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舟状骨の偽関節手術

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最近、立て続けに手舟状骨骨折後偽関節に対する偽関節手術がありました。
舟状骨の偽関節手術で難しい点は下記の2点だと思います。


① DISI変形を如何にして戻すか
② 舟状骨偽関節部の骨欠損の形状に合わせた移植骨の形成


①に関しては、舟状骨の遠位骨片と近位骨片にC-wireをそれぞれ刺入して、これらのC-wireを joy-stick にして掌屈している舟状骨を整復します。


これでもDISI変形が充分に矯正されなければ、背側から月状骨にC-wireを刺入してDISI変形を直接矯正します。今回も舟状骨の掌屈だけではDISI変形の矯正が充分ではありませんでした。


②は腸骨から移植骨片を採取しますが、舟状骨に接する部分の皮質骨は切除するので、皮質骨の厚みだけ余分に大きな移植骨片を採取する必要があるのです。


これを怠ると皮質骨を除いた移植骨片が薄くなってしまい、舟状骨の掌屈が充分に矯正できなくなりDISI変形が残存してしまう可能性があります。



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CPRは心臓マッサージのみでもOK!

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Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
胸骨圧迫のみのCPR普及で成果 です。




胸骨圧迫(心臓マッサージ)のみのバイスタンダー心肺蘇生(CPR)の全国的な普及が日本の院外心停止(OHCA)後生存者の社会復帰数増加に寄与したことが,総務省消防庁の全国前向きウツタイン登録OHCA患者約81万例の解析から分かった。胸骨圧迫のみのCPR普及先進国である日本で国レベルの成果を示す結果となった。


OHCA後のバイスタンダーCPRの種類別の効果は,①成人の心原性心停止であれば胸骨圧迫のみでも従来法(マウス・トゥー・マウスの人工呼吸+胸骨圧迫のCPR)と同等以上②自動体外式除細動器(AED)で迅速に電気ショックが可能な状況では胸骨圧迫のみの方が有効③心臓以外が原因の小児の心停止では従来法が望ましい−など,OHCA患者の背景や状況によって異なると考えられている。  


今回の解析対象は,2005年1月〜12年12月の8年間に救急隊到着前にOHCAとなり救急搬送されたウツタイン登録OHCA患者81万6,385人。主要転帰はOHCAから1カ月後の社会復帰可能な神経学的予後良好〔脳機能レベル(CPC)1(機能良好),または2(中等度障害)〕の割合とした。  


解析方法は,市民によるCPR(胸骨圧迫のみまたは従来法)によって社会復帰したOHCA数から寄与生存数(人口1,000万人当たり)を推計し,その経年推移を検討した。寄与生存はCPRの実施割合(普及・実施のしやすさ)を横軸,社会復帰数(救命効果)を縦軸に取った場合の面積として推計される。  


解析の結果,対象のうち胸骨圧迫のみのCPRを受けたのは24万9,970人(30.6%),従来法CPRを受けたのは10万469人(12.3%),CPRを受けていなかったのは46万5,946人(57.1%)だった。CPRを受けた割合は全体では2005年の34.5%から2012年には47.4%と有意(両傾向性P<0.001)に増加し,胸骨圧迫のみでも17.4%から39.3%へと有意(同P<0.001)に増加していた(図)。



図表




CPRによって社会復帰したと推計されるOHCA者数(人口1,000万人当たり)は全体では2005年の9.0人から2012年には43.6人と有意(傾向P=0.003)に増加し,胸骨圧迫のみでも0.6人から28.3人へと有意(同P=0.010)に増加していた(図)。  


以上から,石見氏らは「バイスタンダーCPRのうち胸骨圧迫のみのCPRの全国的な普及が日本のOHCA後の社会復帰数増加と関連していた」と結論付けている。


これまでの研究は個人単位の比較に焦点を当てたものがほとんどであり,地域レベルで市民による胸骨圧迫のみのCPRの普及がどの程度OHCA後生存者の社会復帰数を増加させるかは検討されていなかった。  


そこで今回われわれはOHCA後の生存に対する国家規模の市民による胸骨圧迫のみのCPR普及の影響を評価した。2010年の日本版CPRガイドラインではCPRの普及促進を目的に,胸骨圧迫のみのCPRの教育が推奨された(従来法を基本に,胸骨圧迫のみは入門編として導入)。日本は胸骨圧迫のみのCPR普及の先進国といえる。  


国や地域にとって,どのCPRが望ましいかは個人のレベルではなく,地域全体の影響を考慮して検討する必要があるため,今回の検討結果は国レベルでの胸骨圧迫のみのCPR普及の効果を示す貴重な結果である。






院外のプライベートの時間帯にたまたま急患に遭遇したときには、いくら医師であるとはいえ初対面で何の情報も無い方にマウス・トゥー・マウスの人工呼吸まで行うことは躊躇します。


しかし、胸骨圧迫のCPR
のみなら心理的なハードルもかなり低くなります。人工呼吸無しでも救命率に差が無いのは不思議な感じですが、それだけ循環が重要ということなのでしょう。


幸い(?)私はプライベートの時間帯に救命処置を行ったことは無いですが、これからは勇気を持って救命処置に参加できそうです。



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