前回の記事のごとく、関節リウマチに罹患していると動脈硬化が進行します。動脈硬化が進行すると必然的に心血管病変を併発しやすくなります。


昔は、関節リウマチに血管病変を併発した疾患を、悪性関節リウマチ(今でいう、リウマトイド血管炎 Rheumatoid vasculitis; RV)といっていましたが、すべての関節リウマチは広義の血管病変を併発していると考えるべきです。下記に具体的な論文を御紹介します。
 

CRP上昇が心血管病変発症のリスクを高める 
→ RA発症時のCRP値が死亡の予測因子

Goodson NJ et al, Arthritis Rheum 2005;52:2293

 



CRPは総頸動脈の内膜中膜肥厚、すなわち動脈硬化に相関する

Gonzalez-Gay, J Rheumatology 2005;32:12119

 



ステロイド投与で心血管病変の発症リスクが高まる

                           Suissa S, Arthritis Rheum 2006;55:531




関節リウマチの治療を行うことは、患者さんの生命予後を改善することにつながります。生活の質を向上するだけでなく寿命まで伸ばすことができるので、リウマチ医にとってはやりがいのある仕事ですね。



※ 京都第一赤十字病院 リウマチ・膠原病センターの尾本先生からいただいた関節リウマチの資料からの抜粋です。