今日の午前は出張先での外来でした。
60歳台女性の慢性頚部痛の方が受診されました。


単純X線像で、第2頚椎歯突起形成不全(os odontoideum)がありました。軸椎(第2頸椎)の骨化中心は、歯突起部と椎体の上下2カ所にあります。そのため発育過程で軸椎になんらかの障害が起きると、歯突起が椎体体部と分離して発育してしまい第2頚椎歯突起形成不全となってしまいます。


歯突起と軸椎椎体部との間は線維性結合なので、ゆるみが生じて不安定を生じます。このため頸髄症や、持続性後頸部痛、項部痛等を併発するケースがあるのです。


疼痛だけの症例は局所安静や鎮痛剤処方でよいようですが、脊髄症状をきたしている場合には固定術が必要となります。それほど外来で頻回にみるわけではないですが、慢性頚部痛の症例では歯突起形成不全も鑑別診断のひとつに加えておくべきでしょう。