東京帝国大学教授にして、一代で巨万の富を築いた本多静六翁の自伝です。関東大震災や2度の世界大戦を生き抜いた著者の達観した境地が秀逸です。





                 
                         
私の財産告白




まず、最も有名なのは「四分の一」貯金です。どんなに生活が苦しくても収入の1/4をまず貯金するという貯蓄の王道的な方法です。実際にこの方法を実践して投資の元手資金である「雪達磨の芯」を作りました。

 

 

次に「雪達磨の芯」を用いて株式や山林に投資します。株式は「二割利食い、十割益半分手放し」という堅実な方法で利益を積み上げます。山林は自分の本業の知識や経験を存分に生かして積極的に利殖しました。

 

 

こうした豊富な経験から、好景気・楽観時代には勤倹貯蓄を、不景気・悲観時代には思い切った投資を、時機を逸せず巧みに繰り返すことが重要と喝破しています。

 

 

具体的に自分が富裕になった方法を開示しつつ、ひたすら努力することを奨励しています。また、富裕になることで職業を道楽化することが可能となり、これは人生で最も幸福なことだとおっしゃられています。

 

 

私が最も感銘を受けたのは、巨万の富を築きながらも、本務に手を抜くことなく、むしろ職業を道楽化できたことで人一倍精励する自分に誇りを持っているところです。

 

 

私の仲の良い友人達には、自分でリスクを取っている独立独歩の経営者が多いです。彼らと接していると、自分のサラリーマン的な生き方に劣等感を抱いていましたが、この本に出会ってそのような感情が氷解しました。