Medical Tribune Vol.46, No.3で、米の人工膝関節全置換術施行数が過去20年間で2.6倍に という記事がありました。

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米の人工膝関節全置換術施行数が過去20年間で2.6倍に
JAMA (2012; 308: 1227-1236)


・ 米国ではTKAの年間施行数は約60万件で、1件当たりの費用は約15000ドルである

・ メディケア加入者集団におけるTKA施行回数とアウトカムが1991年から2010年にかけてどのように変化したかを検討した。

・ 初回TKAの施行例は、93230件(1991年)から243802件(2010年)まで増加した。

・ 再置換術の施行数は、9650件(1991年)から19871件(2010年)まで増加した

・ 初回TKA患者における肥満率は4.0%から11.5%に上昇した

・ 初回TKA患者の平均入院日数は、7.9日から3.5日に減少した

・ 初回TKA患者では、原因を問わない退院後30日以内の再入院率は、4.2%から5.0%に上昇した

・ 退院先の内訳は、自宅への退院と入院でのリハビリテーションが減少して、介護施設への退院と外来でのリハビリテーションが増加した。

・ 再置換術では、原因を問わない退院後30日以内の再入院率は、6.1%から8.9%に上昇した

・ 再置換術では、創傷感染症による再入院率が1.4%から3.0%に上昇した


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さすがに整形外科の総本山の国だけあって桁違いの手術件数です。米国におけるTKAの著明な増加は、安定した術後成績や肥満率の上昇などの複数の因子によるものなのでしょう。


私が気になったのは、平均入院日数の短縮と原因を問わない退院後30日以内の再入院率および創傷感染症による再入院率の逆相関関係です。さすがに平均入院日数を3.5日まで短縮するのはやり過ぎではないでしょうか。感染を併発すると、その患者さんの人生が一変します。私個人的には日本でTKAを受けたいですね。




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