昨日、バイクの高エネルギー外傷の方が入院されました。
膝に高度の腫脹があったのでMRIを施行したところ、ACL・PCL同時損傷を認めました。


ACL・PCL同時損傷は、膝関節脱臼の亜型と考えられています。治療方針としては、
①PCL再建術 ②ACL+PCL同時再建術 ③PCL再建術→ACL再建術 があります。


①ですが、ACL損傷とPCL損傷が並存する場合、PCL再建の方がACL再建よりも優先されます。これはPCLの方が膝関節の安定性に重要な役割を果たしているためです。


②は同時再建(PCL再建術→ACL再建術)なので時間はかかりますが、初回手術なので術野の見え方が比較的良好です。ただし2本同時再建なので膝関節が拘縮しやすいのが欠点です。


③は取り敢えずPCL再建術を施行したが、やはり不安定性が残存するため二期的にACL再建術を施行するパターンです。2度目の手術なので、鏡視下の視野の確保が少々難しいようです。


ACL・PCL同時損傷はめずらしい外傷ですが、基本的には膝関節脱臼の亜型です。新鮮例では血管損傷(膝窩動脈)も併発している場合が多いので注意が必要でしょう。




 ★★ 『 整形外科の歩き方 』でお宝アルバイト獲得のための基本講座を公開中です! ★★