昨日、大腿骨頚部骨折の方が搬入されました。いつものごとく、当日手術を目指して術前検査を施行したところ肺機能が異常に悪かったのです。ルームエアでの動脈血ガス分析は、PaO2 37mmHg、PaCO2 43mmHg、pH 7.5とやや呼吸性アルカローシスでした。
また、心エコーでは肺高血圧を疑う所見(肺動脈弁および三尖弁での逆流血圧の異常高値)を認めました。総合的に判断して肺血栓塞栓症(PTE)を併発していると判断しました。
2日前から呼吸苦と胸痛が出現し、1日前に転倒して大腿骨頚部骨折を受傷したとのことです。PTEを発症してしんどくなったために転倒して、大腿骨頚部骨折を受傷されたようです。肺炎を発症してしんどいから転倒して、大腿骨近位部骨折を受傷することは多いですが、今回はPTEが原因となったようです。
さすがに麻酔をかけると生命の危険性が高まるので、手術は延期して内科入院でPTEの治療を施行していただくことになりました。
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