今日の午前は、反復性膝蓋骨脱臼に対するMPFL再建術でした。
ご存知のように、MPFLとは(Medial Patell-Femoral Ligament; 内側膝蓋大腿靭帯)の略称です。 


一昔前まで反復性膝蓋骨脱臼に対してdistal realingment surgery 等が行われることが多かったですが、定番となるような手術がありませんでした。様々な術式が考案されているのは、どれも成績がイマイチなことが理由です。そんな中でMPFL再建術は、反復性膝蓋骨脱臼に対する手術としてはメジャーな地位を確立しつつあります。


今回のMPFLの再建靭帯は、半腱様筋腱を使用しました。必要な長さは約20cmです。通常のACL再建術と同じ要領で半腱様筋腱を採取します。再建靭帯の固定方法はエンドボタンを使用しますが、本日の使用ボタンはバイオメット社のトグルロックでした。


このボタンは可変式で術中に任意のテンションで再建靭帯を固定することが可能です。まだまだ改良の余地のあるボタンですが、現時点では一番お勧めではないでしょうか。


膝蓋骨・大腿骨とも側面でのイメージコントロール下にガイドワイヤーを挿入します。膝蓋骨は側面像で中央に1.5 K-wireをガイドワイヤーとして挿入し、これを指標にして上下1/3の部位に2.4 K-wireをそれぞれ平行に挿入します。


大腿骨骨側については議論の的になっています。下記論文が最もメジャーなので、参考にしていただければ幸いです。


Schöttle PB, Schmeling A, Rosenstiel N, Weiler A.
Radiographic landmarks for femoral tunnel placement in medial patellofemoral ligament reconstruction. 2007 May;35(5):801-4. Epub 2007 Jan 31.



最後のエンドボタンを固定する際には、膝関節を屈曲60度にしてmanual maxでテンションを掛けます。テンションが強すぎるとPF関節の関節症性変化が出現するので、これぐらいの角度が最も良いようです。




       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

       
       総論   (診察・診断、治療全般、骨折・外傷、周術期管理)
 

       各論   (手の外科、肩関節、脊椎、股関節、膝関節、足の外科、腫瘍)

       その他 (関節リウマチ、痛風・高尿酸血症、骨粗鬆症、専門医試験)