今日の午前は、人工膝関節全置換術(TKA)でした。使用機種は、ライト・メディカル(WRIGHT MEDICAL)が今年1月から販売開始したEVOLUTIONでした。
EVOLUTIONの特徴は、過去に記事にしています。今回は比較的若年の方だったので、CRタイプを第一選択としました。バックアップでCSタイプも準備しています。
最近では、CSタイプも結構メジャーになりつつあります。CSはCruciate Substitutingの略で、後十字靱帯を切除し、インプラント(主にインサート形状)によって安定性を実現しています。
一般的にTKAのタイプ別では、PS>CR>CSの順で大きな可動域を得ることができます。一方、PSではインプラントのポスト・カム機構で安定性を実現しているので、インサートのポストやインプラント骨界面にストレスが掛かりやすい欠点があります。
CSに関しては、まだ十分な量の長期成績が出ていないのですが、インサートの厚みがあるので可動域が悪くなりがちなのが欠点です。
以上を総括すると、そこそこの年齢で術前可動域があまり良くない場合にはPSを、若年者でPCL機能が温存されており関節可動域が良い場合にはCRを、CSはCRのバックアップとして準備するといったフローチャートが、現時点では妥当なのかなと思っています。
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一つ質問です、CRでPCLが脛骨から剥離して、術後不安定になったご経験はおありでしょうか?私はありません。PCLはかなり広範囲で脛骨に付着しているので、少々脛骨から剥離しても問題無いと習いました。秋月先生のように骨ごと大きく展開しても問題ないそうです。仮に屈曲ギャップが開くことがあれば、やや伸展をタイトにしても術後リハビリで伸ばせます。よほど酷く脛骨から剥がれない限り、PSに移行する必要性は無いと思っていますが、いかがでしょうか?