昨日の午前は、出張先で外来でした。
割れた花瓶の破片による右肘関節内側の切創に対して外科で縫合処置を受けたが、1日経っても右環指尺側と小指のしびれが続くという患者さんが受診されました。


身体所見では尺骨神経固有領域の3/10の知覚低下および、手指内外転・PIP関節の完全伸展不能だったので尺骨神経損傷と診断しました。


intrinsic minusであり整形外科医にとっては見落としようのない身体所見ですが、一般外科医にとっては身体所見だけで尺骨神経損傷を疑うことは意外と難しいかもしれません。


確かに環指・小指はしびれて知覚が低下していますが手指はそれなりに動くため、尺骨神経の支配領域を知らなければ一般外科医が神経損傷を発見することは難しいと思います。


肘関節レベルの尺骨神経は運動繊維の比率が高いので、新鮮例であっても手関節レベルの正中神経ほどには予後が良くないです。それでもある程度はリカバー可能なので、トラブルにならないように対応していきたいと思います。




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