昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
CTで計測すると寛骨臼の前方開角が45度もありました。これに対して大腿骨頚部前捻角は10度程度しかなく、両方を合算するとうまくバランスされています。


通常のTHAではカップの前方開角20度で設置しますが、今回のように極端に前方開角が大きい症例では、前方開角を20度で設置するとカップ前方や寛骨臼後壁にステムネックがインピンジして脱臼の原因になります。


したがって、もともとの寛骨臼の前方開角(40度程度)に合わせてカップを設置せざる得ません。股関節の安定性確保は、大腿骨頚部前捻角を減らすことで対応します。


一般的に、後方アプローチでは寛骨臼前方開角+大腿骨頚部前捻角=50~55度、前方アプローチでは寛骨臼前方開角+大腿骨頚部前捻角=40度程度が望ましいと思います。


もちろん最終的には術中の試験整復で股関節の安定性を検証しますが、術前計画の段階で頭に入れておくべき角度かなと思います。このような症例では大腿骨頚部前捻角をある程度変更できるchangable neckの機種やS-ROM-Aなどが有用だと思います。




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                                    人工股関節全置換術