整形外科外来をしていると、手指の軟部腫瘍を診る機会が非常に多いと思います。患者さんからは腫瘍であることを告げると「ガンじゃないですよね?」と訊かれることが多いです。


ガングリオンであれば間違いなく悪性ではありませんが、それ以外では診断が難しいのが現状です。MRIを施行しても小さすぎて情報量が少ないです。


最終的には組織生検をしなければ責任のある回答を提示できないのですが、そもそも手指に悪性軟部腫瘍ができたという話を聞いたことがありません。


そこでやんわりと、おそらく良性ですがもしどんどんサイズが大きくなってくるようなら再診してくださいと伝えています。


大学の腫瘍班のドクターにお伺いすると、やはり手指の軟部腫瘍で悪性腫瘍は診たことが無いという話でした。何故手指に悪性腫瘍が発生しないのかは分かりませんが、専門医に言われると説得力があります。


ただ、私が文献の渉猟をしきれていないだけなのかもしれませんので、もし手指の悪性軟部腫瘍の症例報告の文献があれば是非教えて欲しいです。





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 骨・軟部腫瘍および骨系統・代謝性疾患 (整形外科専門医になるための診療スタンダード 4)