先日記事にしましたが、肘関節後方脱臼後の高校生を外来で治療しています。
受傷後4週の時点で、90-50-0とかなりの肘関節可動域制限を残していたので、1週間後に再診してもらいました。


肘関節可動域はほとんど改善しておらず、単純X線像上では仮骨性筋炎を併発し始めていました・・・。仮骨性筋炎は、骨折や脱臼に際して関節包や骨膜が骨から剥離して、そこに生じた血腫が骨化することで発生します。


幸い仮骨性筋炎としては軽症の部類ですが、ますます可動域訓練の是非が難しくなってきました。受傷してから5週間経過しているのでこのまま放置しておくと、かなりの可動域制限が残ってしまいます。


仮骨性筋炎にはダイドロネル投与が効果的だと思いますが、脊髄損傷後と股関節形成術後の異所性骨化にしか適応が認められていません。また、小児(さすがに高校生は小児ではないでしょうが)への投与は禁忌です。


ダイドロネルの他には、NSAIDsが有効らしいです。これは、強直性脊椎炎でCox2選択阻害薬(セレコックス)が有効であることと同じ理屈なのでしょう。未成年ではありますが説明と同意の上、投与を開始しようと思います。


他動での可動域訓練は控えつつも、自主訓練ではなく通院での渦流浴と自動可動域訓練を開始しようと思います。やはり肘関節屈曲角度が最低でも115度を越えないと日常生活で支障が残るからです。




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