先週の金曜日は、示指MP関節ロッキングに対する手術でした。
この方は30歳台の女性で、かばんを握った瞬間から示指MP関節の完全伸展が不能となりました。


ここ数年間は1ヵ月に 1度程度ロッキング症状があったそうですが、徒手整復が可能だったようです。近くの整形外科開業医からは”バネ指”だと言われていたとのことです。


今回もロッキングが出現したので同じ医院を受診しました。バネ指の診断でステロイド腱鞘内注射を施行されたのですが、ロッキングが解除されないため当院を初診されました。


初診時の所見はMP関節が90-30-0と完全伸展が不能でしたが、PIP関節およびDIP関節には可動域制限がありませんでした。バネ指によるロッキングだとすれば屈筋腱がA1 pullyで固定されるのでPIP、DIPとも動かせないはずです。


同門の先輩ドクターの奥様も示指MP関節ロッキングを発症したそうです。その先輩は自分の奥様を”バネ指”と診断して腱鞘切開術を施行しました。しかしロッキングが解除されなかったため、家族内での威厳が地に落ちたという笑い話がありましたが、確かに紛らわしいです。


ちょうど大学の手の外科医師が出張しに来られる日だったので、相談したところ示指MP関節ロッキングであることに気付いたのです。私の手の外科を紐解くと詳細にロッキングのメカニズムや治療法が載っていました。


大学の手の外科医師がおっしゃられるには、大学で10年以上診療しているにも関わらず、私の手の外科に載っていない症例をほとんど経験したことが無いそうです。なるほど20カ国以上で翻訳されて、世界中の手の外科医のバイブルとなっていることも納得できます。


示指MP関節ロッキングの治療法 につづく



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