示指MP関節ロッキングをバネ指と誤診するところでした のつづきです


示指MP関節ロッキングの診断のポイントは、MP関節が屈曲位をとり伸展できないのですが屈曲はできることです。徒手整復を試みて成功しなければ手術が必要となります。


ロッキングの原因は中手骨骨頭のvolar lipという骨棘に副靭帯(fan like portion)がインピンジすることで発生します。手術では副靭帯(fan like portion)および骨棘(volar lip)を切除します。


さて、ロッキングは示指の橈側が原因であることがほとんどですが、圧痛点がMP関節橈掌側に
あることで最終確認します。もし、尺掌側であれば尺側を展開しなければならないからです。


アプローチは示指の橈側が原因であれば、側方アプローチが容易です。皮下を展開して伸筋腱膜を末梢に引くと副靭帯(fan like portion)が見えるので起始部で切除します。


どちらが原因側か不明の場合には掌側からアプローチしますが、術野は比較的深いです。通常の腱鞘切開術と同様に腱鞘を切開して屈筋腱を避けます。腱鞘の外側縁を関節面が見えるまで切離することで副靭帯(fan like portion)の停止部を切離することになります。


尚、注意点としてはロッキングを最終段階まで極力解除しないことです。理想的は副靭帯(fan like portion)を切離した瞬間にロッキングが解除されることです。原因個所が判定することが難しいので、術前からロッキングが解除されている症例に手術を行ってはいけません。




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