20歳台の女性の腰痛を診察する機会は比較的多いと思います。
特に医療・介護系の仕事に従事している方の有病率は高い印象です。


このような方に腰椎や骨盤の単純X線を施行しても全く所見が無いことが多いです。普通に考えたら腰椎分離症以外で20歳台の若年者に単純X線像で異常所見を認めることは少ないでしょう。


では、どこに由来する痛みかというと、私の中では仙腸関節由来の痛みを考慮するべきだと感じています。特に、看護師さんや介護士さん等の医療・介護系の方に顕著に多いと思います。


しかし、単純X線像で仙腸関節に異常所見を認めることはほとんどありません。そこで、仙腸関節痛の誘発テストを施行して仙腸関節由来の痛みであることを診断する必要があります。



無題



各種の仙腸関節痛誘発テストがありますが、特にGaenslen testが有用だと思います。このテストは、患側をベッドの端にして健側下肢の膝を屈曲して胸に抱えるようにします。そして検者は患側下肢をベッドの端から出して過伸展させます。普段感じているのと同じ部位に同じような痛みが再現すれば仙腸関節由来の疼痛と診断します。


仙腸関節由来の痛みであった場合には、
仙腸関節ベルト を処方すれば痛みが軽快するケースが多いです。ただし、腸骨稜を締め過ぎて大腿外側皮神経麻痺を併発しないように説明しておく必要があります。また、モービック等の長時間作用型の消炎鎮痛剤も有用だと思います。



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