昨日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
臼蓋形成不全の程度が強いため、寛骨臼前後の充分な被覆を得るのに少し苦労しました。
セメントレスTHAの術中のヤマ場のひとつにカップ設置があると思います。インパクションに際してカップの固定性が充分に獲得できないことがときどきあります。
原因としては下記のごとくの要因が考えられます。
① 寛骨臼の骨質が固いため、1mmアンダーではカップが寛骨臼に噛み込まない
② リーミングが偏心してしまった
③ 臼蓋形成不全が高度なため寛骨臼前後壁の被覆が不十分
①は若年者で比較的解剖学的に正常な股関節に発生しやすいです。具体的には特発性大腿骨頭壊死症(ION)の方です。この場合にはカップの辺縁部のみ同サイズリーミングを行います。
②は展開がタイトで大腿骨の排除が充分でない時に発生しやすいです。この場合、寛骨臼にサイズアップできる余裕があればワンサイズ上までリーミングを追加します。
③は技術的に難しいです・・・。あまり経験ありませんが、どうしても充分な寛骨臼前後壁の被覆を得られずカップの固定性が不良の場合には、内板を少しだけ(100円玉ぐらい)打ち抜くことも選択枝のひとつです。ただし、これは最後の手段であり、内板を打ち抜きすぎると収拾がつかなくなります。
最終的にリカバリーショットを打っても充分な固定性が得られないときにはどうすればよいのでしょうか?私の場合、カップの外方傾斜角40度・前方開角20度をしっかり保持してから、その角度を保ってスクリュー3本で固定します。
3本中2本以上のスクリューが対側の内板を貫いてしっかり効けば、翌日から全荷重歩行を許可します。1本以下しか効かなければ・・・、経験無いので分からないですが免荷でしょうか???
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人工股関節全置換術
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