昨日の午後に大腿骨転子部骨折の方が搬送されました。
単純X線像上は、骨折の転位がかなり大きかったです。
転位の大きい大腿骨転子部骨折では下肢を徒手的に牽引して撮影する、いわゆるtraction viewがお勧めです。骨折で転位していると末梢側が外旋して骨折型を見誤ることがあるからです。
もちろん骨膜が完全に破綻している症例ではあまりきれいな画像にはなりませんが、この場合も骨折部の高度の不安定性があることを術前から把握できます。
初診時のワケの分からない転位の大きな画像のみで判断するのではなく、traction view(牽引撮影)で撮影した正確な大腿骨正面像で手術を施行する方が間違いが少ないと思います。
尚、traction viewは正面像だけで充分です。また、牽引することである程度骨折部が整復されるので、骨折部からの出血の抑制にもある程度有効です。
単純に患側の下肢を引っ張るだけなので、ルーチン撮影に組み込むことをお勧めします。股関節中間位で撮影したきれいな正面像を見ることで、術前のイメージを掴むことができます。
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