Medical Tribune 2014年1月30日号に興味深い記事がありました。
「THE 判例 訴訟リスクから見る日常診療の落とし穴/カルテ改ざんをめぐる裁判例」です。
以下、Medical Tribuneからの転載です。
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Q:次のうち,裁判例に照らして誤っているものはどれか。
① カルテ改ざんや成立の真正を立証するために,当該医療機関の他の患者のカルテの記載方式などを証拠とすることは許されない
② 後日,治療内容を整理して,学会報告などのための便に資するように記載するのであれば,断片的な記載はしないはずである
③ 診療録に記載がなければ,後日それが改変されたような事情がなければ,そのような事実はなかったと推認される
④ 1行に2行分の記載があれば怪しいとされる
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答えは①だそうです。
「同一人の記載による時期が近接したカルテにつき,基本的な記載ぶりの多くが大きく異なることは不自然で違和感を覚えざるをえない」という判決です。
弁護医師の田邉先生は、「このような判決からは、カルテは誰にも読めないような、何語か分からないような文字で略語を多用するのが訴訟上はベストのようです」 とコメントされています。
冗談と受け取って良いのか、本心でおっしゃられているのか判断に苦しみます(笑)。ただ、最近は電子カルテが全盛なので、昔の様に読めないカルテは姿を消しつつありますが・・・
あと、③に関しても「カルテ記載の無い事項は、当該事実の不存在を事実上推定させる」とのことです。後日に争いのタネになりそうなポイントは積極的に記載しておくことが望ましいようです。
私は身体所見に問題が無い場合には、「バイタルサインは安定している」、「四肢の循環状態に問題なし」、「四肢・体幹の神経学的異常所見を認めない」等の表現を用いています。
このような広範囲をカバーする表現で、記載時点で問題が無かったという証拠固めを一網打尽に行っています。電子カルテならコピー&ペースト可能なので記載も苦痛ではありません。
「医師にとって診療上の必要性と法的義務の両面によって真実性が担保されているというべき」とのことで診療録は裁判上は信用力が高く、改ざんの立証責任は一般的に原告側にあります。
したがって、無用な医療訴訟に巻き込まれないためにも、せっかく診察・診断した内容はできるだけポイントを押さえて積極的にカルテ記載を行っていきたいものです。
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