Medical Tribune 2014年3月6日号に興味深い記事がありました。
「サプリメント使用に関する勧告を改訂」です。以下、Medical Tribuneからの転載です。


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米国予防医療サービス対策委員会(USPSTF)は,心血管疾患(CVD)やがんの初発予防を目的としたビタミンやミネラル,あるいはそれらの成分を複数組み合わせたサプリメントの使用に関する勧告を改訂した。改訂に伴い,勧告にはCVDあるいはがんの予防を目的としたビタミンE使用は「勧めない」ことが追加された。  


なお,同勧告はUSPSTFのウェブサイトおよびAnn Intern Med(2014年2月25日オンライン版)で公表された。


米国ではサプリメントの使用は広く普及しており,2010年における栄養補助サプリメントの売上高は281億ドルに上っている。サプリメント業界の調査によると,多くの医師や看護師が健康増進を目的にサプリメントの利用を患者に勧めているという。  


USPSTFは2003年,健康な成人におけるCVDあるいはがんの初発予防のためのビタミン,ミネラル,マルチビタミン,マルチミネラルのサプリメント使用に関する勧告を発表。ビタミンA,C,E,葉酸や抗酸化物質配合のマルチビタミンについて「エビデンス不十分(I statement)」とした他,βカロチンについては「使用を勧めない(D recommendation)」としていた。  


今回の改訂に当たってUSPSTFは最新研究をレビュー。その対象となった研究の参加者はおおむね50歳以上であった。なお,小児や妊婦,慢性的に不健康,入院中,あるいは既知の栄養欠乏症がある者は勧告の対象外としている。  


レビューにより,βカロチンとビタミンE以外のサプリメントによるCVDあるいはがんに対する初発予防については,「利益と不利益を評価するためのエビデンスが不十分(I statement)」と結論。またβカロチンに加え,ビタミンEについても効果がないことを示す新たなエビデンスが増えていたため,予防目的での使用は「勧めない(D recommendation)」とした。


さらに,ビタミンD,カルシウム,セレン,葉酸の使用についても今回新たにレビューを行ったところ,ビタミンDによる心血管イベントあるいは心血管死の抑制効果は3試験中2試験で示されず,がん予防を目的とした介入試験でも差は示されていなかった。  


セレンやセレン配合剤の2試験でもCVDの予防効果は示されておらず,がんについては追加解析でセレンが不足する男性でがん発症率の低下が示唆されたものの,全体的には一貫した結果が得られていない。葉酸の介入試験ではCVDの減少は見られず,介入群で前立腺がんによる死亡の増加が認められているとしている。  


なお,2013年11月に公表された改訂案に対するパブリックコメントを受け,肺がんリスクの高い者に対してβカロチンの有害性を強調する表現が追加されるなど,改訂案の一部が修正された。

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サプリメントの愛用している高齢者は多いと思いますが、この風潮に対する警告だと捉えました。ただ、この手のニュースによって利益を得る団体は無いので日本では黙殺されている印象です。


やはり、サプリメント業界(製薬業界も含む)と利益関係の無い、われわれ医師が微力ながらも外来で都度啓蒙していくしかなさそうです。


しかし、ただでさえ時間の無い外来中に「サプリメントは服用しても効果が無く、お金の無駄だから購入を止めた方が良い」という説明を毎回行うことは非常に難しいのが現状です。


そこで私は、「サプリメントを購入するお金があるのなら、そのお金で美味しい食事に行った方が良い選択枝だと思います」という殺し文句(?)を常用しています。心に響くでしょうか(笑)?




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