10歳台の男性の腰痛を診察する機会は比較的多いと思います。
今日も春休みなので、高校生の腰痛患者さんが何名か受診されました。


競技レベルでスポーツをしている中高生では、腰椎分離症や腰椎椎間板症を念頭に置きます。しかし、その中の1人は腰椎MRIで所見が無いにも関わらず頑固な腰痛で悩んでいました。


では、どこに由来する痛みかというと、私の中では仙腸関節由来の痛みを考慮するべきだと感じています。仙腸関節由来の痛みは、看護師さん等の医療・介護系の方に顕著に多い印象です。


しかし、10歳台の若年者でも腰椎分離症や腰椎椎間板症を除外できるのなら、仙腸関節痛の誘発テストを施行して仙腸関節由来の痛みであることを診断する必要があります。



無題



各種の仙腸関節痛誘発テストがありますが、特にGaenslen testが有用だと思います。このテストは、患側をベッドの端にして健側下肢の膝を屈曲して胸に抱えるようにします。


そして検者は患側下肢をベッドの端から出して過伸展させます。普段感じているのと同じ部位に同じような痛みが再現すれば仙腸関節由来の疼痛と診断します。


今日の高校生は、Gaenslen testおよびFreiberg testとも陽性でした。仙腸関節由来の痛みであった場合には、
仙腸関節ベルト を処方すれば痛みが軽快するケースが多いです。


ただし、腸骨を締め過ぎて大腿外側皮神経麻痺を併発しないよう説明する必要があります。中高生へは難しいですが、成人ならモービック等の長時間作用型鎮痛剤も有用だと思います。



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