今日の午前の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
高齢の骨盤後傾が著明な方で、広義の急速破壊型股関節症(RDC)でした。


RDCは骨質が脆弱なため手術が難しいことが多く、私の中ではやや苦手意識があります。更にこの方の股関節は可動域が広く、脱臼リスクが高い症例と判断せざるを得ませんでした。


私は股関節外科医なので症例に応じてアプローチを変えます。今回の問題点は易脱臼性なので前外側アプローチを選択しました。後外側アプローチに比べて関節の安定性が抜群だからです。


私は、①体型が普通+②易脱臼性の症例は前外側アプローチを、若年者で早期の社会復帰が必要な症例では梨状筋温存の後外側アプローチを選択しています。


これらに当てはまらない症例はケース・バイ・ケースですが、最近では梨状筋温存の後外側アプローチを好む傾向にあります。やはり後外側アプローチは、術者も患者さんも楽ですから・・・


※ 股関節が専門ではない整形外科医は、前外側でも後外側でも良いので自分の得意なアプローチをひとつ決めて、その経験値を高めることを目指すべきだと思います。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

 
初学者が股関節外科の基礎および治療体系を学習するにあたり最もお勧めの書籍です。日本を代表する執筆陣が股関節外科に関するあらゆる事項を、非常に分かりやすく解説しています。この1冊があれば股関節外科のほぼ全ての疑問点を解消できると思います。


                 
         
                       股関節学