昨日の手術は、人工股関節全置換術(THA)でした。
今回の方は結核性強直股関節の方で、幼少期に結核に罹患して股関節が強直しました。


股関節が強直しているため歩容が悪く、腰殿部痛や膝関節痛をきたして手術となりました。股関節が強直して50年近く経過しているため、難しい手術となることが予想されました。


まず、展開ですが、広い術野を確保するため後外側アプローチで進入しました。股関節を使用していないため軟部組織が菲薄化しており、すぐに大腿骨に到達しました。


坐骨神経はすぐに術野に現れました。中殿筋はかなり菲薄化していましたが、瘢痕化するまでには至っていませんでした。大腿骨を切り離す部位の決定が最も難しいポイントです。


切り離し部位の位置決めは透視下に行いました。慎重に切り離し後は周囲の剥離を行うことで、大腿骨をある程度屈曲・内転・内旋できるようにしました。


大腿骨側はステムで調整できますが、寛骨臼側は意外とカップを設置する余裕がありません。単純X線像でボーンストックが有りそうですが、切り離し部位を骨盤側に寄せ過ぎると危険です。


寛骨臼側は海綿骨のため非常に脆弱で、リーミングは数秒で内板に到達しました。できれば、カップはTritaniumやContinumを準備しておきたいものです。


逆に大腿骨側は髄腔が狭くステムを挿入することが難しかったです。大腿骨はかなり短縮していましたが、股関節周囲の軟部組織が菲薄化しているため意外と容易に引き下がりました。


最後に内転筋腱切離術も追加しました。通常のTHAとは似て非なる手術で、非常に難しかったです。終了するまで5時間近くかかり、本当に披露困憊でした。


しかし、実はそのまま帰宅することなく、ご飯も食べずに資産形成のセミナーに出席してきました(笑)。苦労の甲斐あり、そのセミナーは非常に有意義でタメになったので良かったです。



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    初学者がTHAの治療体系を俯瞰するにあたり、最もお勧めの書籍です


                   
    
                                    人工股関節全置換術