昨日の午後はアルバイト先で、人工骨頭置換術の手術に参加しました。
当初、大腿骨転子部骨折に対して髄内釘で骨接合術を施行されたようです。


しかし、小転子下に及ぶ粉砕した大腿骨転子部骨折であったため頚基部が偽関節となりました。ラグスクリューがカットアウトしそうになったため、人工骨頭置換術を施行することになりました。


この方は80歳台後半の方で、高度の骨粗鬆症を併発しています。このため展開は広い視野を確保できる後外側アプローチを選択しました。


前回手術の皮切の一部を利用して髄内釘を抜去した後、慎重に股関節を展開しました。大腿骨近位部は、骨折の影響で正常な形態をほとんど留めていませんでした。


初回手術から3ヵ月経過していましたが、大腿骨周囲の瘢痕組織形成が高度でした。大腿骨近位部の形状を確認するため、骨膜下に瘢痕組織の切除を施行しました。


多量の瘢痕組織を切除すると何とか大腿骨近位部の形状を確認できました。ここで問題点がひとつ出てきました。髄内釘周囲の骨が硬化しており、大腿骨髄内の方向が分からないのです。


K-wireや鋭匙等で大腿骨髄内を探り、硬化した骨に穴を開けて何とかリーミングすることができました。ステムをラスピングする段階で、ふたつめの問題点が出てきました。


短縮した大腿骨の引き降ろしおよび術野の確保のため、後方軟部組織をかなり切除しています。このため、股関節の後方不安定性が通常症例よりも高度なのです。


しかし大腿骨近位部の骨欠損が大きいため、充分なトライアルができません。したがって、大腿骨頚部前捻角を通常よりもやや大きめにつけてラスピングしました。


何とか、無事手術を終了しましたが、やはりこのような症例での人工骨頭置換術は難しいと思いました。もう一度、手術の際に気付いた点をまとめておきます。


① 大腿骨近位部が硬化しており、リーミングのエントリーポイントの位置決めが難しい
② 外傷後なので軟部組織の弾性が低下している
③ 後方アプローチの場合、後方不安定性が強くなるためステム前捻角は大きめの方が無難




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                       股関節学