昨日の午前は人工膝関節全置換術(TKA)でした。
KL grade 4で、ちょうど手術をやり頃な患者さんでした。


最近になって思うのですが、TKAではある程度思い切って多めに骨切りしていった方が、術野の展開が楽で、いろいろな術中ピットフォールに陥りにくいのではないでしょうか?


昔は骨切りを最小限に留めて、軟部組織の靭帯バランスでギャップの調整を行っていました。しかし、あまりタイトな術野で手術していると、膝蓋骨周囲のトラブルをきたすケースを散見します。


逆にある程度大胆に骨切りや骨切除を施行していくと、術野の展開が楽なので膝蓋骨周囲や軟部組織に対する侵襲は少なくて済みます。更に手術時間の短縮にもつながります。


一度、骨切りしてしまうと取り返しがつかなくなるので、できれば軟部組織で調整を!と思っていましたが、よく考えたら軟部組織も一度剥離したら取り返しがつません。


もちろん、骨切りや骨切除と比べて軟部組織の剥離の方が、手技施行時間単位の効果が小さいので靭帯バランスの微調整が利くという利点があります。


このため初心者のうちは、軟部組織剥離をメインにする方が時間は掛かりますが安全です。しかしある程度の経験を積めば、許容範囲内で多めに骨切りする方がよりスマートかなと思います。


実際、術中にかなり大胆に骨切りした!と思っても、最終のインサートの厚みが通常よりも2mmぐらいしか厚くならないケースがほとんどだと思います。私の意見はいかがでしょうか?



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