MT proの新着記事メールで興味深い記事がありました。
「当直の“シフト制”で医師の睡眠の質が改善」 です。


Medical Tribune 2014年7月16日号に掲載予定だそうです。
以下、MT proからの転載です。


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医師の当直体制の違いによって当直時の睡眠の質と量は変わるのか。
当直業務に伴う睡眠不足は医師の健康を左右する要因でもある。


京都府立医科大学救急医療学の安炳文氏および滋賀医科大学睡眠学教授の宮崎総一郎氏は、医師の当直体制の違いによる睡眠への影響を検討した。


労働政策研究・研修機構が実施した「勤務医の就労実態と意識に関する調査」(2012年発表)では、医師にとって負担が最も大きいと感じる業務の1つに当直が挙げられた。


同調査では、当直中の平均睡眠時間が4時間未満の者は約半数もいるというが、医師の当直体制の違いによって当直時の睡眠の質と量にどう影響するのかは明かでない。  


そのため安氏らは,京都府立医科大学病院の卒後1,2年目の研修医を対象に、当直による睡眠への影響を検討した。当直体制は下記の3種類です。


 ① ナイトコール:  当直室で休養しながら診察依頼のコールがあるごとに救急室で診察
              当直時間18時~8時
 ② シフトワーク1: 夜間勤務前半(18時~1時)のみ救急室で継続勤務,後半は休養
 ③ シフトワーク2: 夜間勤務前半は休養、後半(1時~8時)に救急室で継続勤務


当直は曜日によって①のみの体制(指導医は非救急専従医)と、②と③をセットにした体制(指導医は救急専従医)となっている。  


当直中の睡眠の量と質の評価は、睡眠日誌やセントマリー病院質問票を用いた自覚的評価と、アクティグラフとポータブル脳波計による客観的評価により行った。


その結果,ナイトコール群に比べてシフトワーク1群で主観的な睡眠の質が有意に高かった。しかし、シフトワーク2群ではナイトコール群との間に有意差は認められなかった。


客観的評価のうち、睡眠の質の指標であるノンレム深睡眠の割合は、ナイトコール群に比べてシフトワーク1群および2群のいずれも有意に高かった(各P=0.016,P=0.042)。  


安氏らは、夜間のシフト体制は一般的な当直体制に比べて自覚的・客観的な睡眠を改善する可能性があると結論した。当直時に睡眠を取る方法を工夫する必要があるとしている。


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このように複数の医師による当直体制は、大学病院や日赤等の大規模な基幹病院のみだと思いますが、このような医療機関は患者数が多くて過酷な業務であることが多いです。


このような当直体制の病院では、当直室でコールを待つ一般的な当直体制から、当直時間帯を2つのシフト体制に変えることで、医師の睡眠の質が改善することを示唆するデータです。


私が勤務していた某日赤は、3名の医師(内科・外科・マイナー)が23~8時までの9時間を3時間毎にシフトする体制でしたが、連続睡眠が6時間取れる前と後のシフトは比較的体が楽でした。


もちろんCPAの搬入があると起こされますし、緊急性の高い専門科疾患の患者さんではコールされるので、6時間連続で眠れることは稀です。それでもシフト制は体に優しいと思いました。


シフト制の問題点としては、専門性を如何にして担保するかという問題点があります。専門外の疾患を診るリスクを取るか、睡眠の質を取るかの難しい選択を迫られます。


しかし私の経験上、院内に他科医師が待機している状況は、夜間であっても「あと2時間しのげば専門医にバトンタッチできる」といったように精神的には楽でした。


一般の小規模病院の1人当直体制ではシフト制は難しいですが、徐々にでも医師の当直体制が改善されるといいですね。




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