一昨日は午後から足趾壊疽に対する足趾切断術を施行しました。
閉塞性動脈硬化症(ASO)がベースにあるため、どの高位で切断するべきか悩ましい症例です。


このようなASOがベースにある方に足趾切除術を行っても、創治癒不全を高率に併発してしまいます。末梢循環障害が原因なので術創が治らないのです。


足趾切断術で創治癒しない場合、一般的には足部切断 ⇒ リスフラン切断 ⇒ 下腿切断と中枢に向かって追加手術を行うケースが多いと思います。


しかし、このようなASOで足部壊疽を併発するような方には、全身状態があまり思わしくないケースが多いです。つまり、ほとんどの患者さんで、複数回の手術をできるだけ避けたいところです。


創治癒のみを考えると、できるだけ中枢で切断した方が治癒率が高いです。しかし、足趾壊疽の段階でいきなり大腿切断術や下腿切断術を選択することは勇気が要ります。


足趾壊疽を併発している多くの症例で膝窩動脈を触知せず、表面的には足趾壊疽であっても、実際にはかなり中枢での循環不全が原因であることが多いです。


このため、私は足趾壊疽を治療するときには、足部切断術 → 下腿切断術 →大腿切断術 という順番に切断する高位を中枢側に移動させていきます。


だいたい下腿切断術でなんとか治癒しますが、大腿切断術まで施行せざるを得ない症例も散見します。ASOや糖尿病ベースの壊疽の治療は悩ましいですね。



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