NHKニュースウェブで興味深いニュースがありました。




生活保護受給者に後発医薬品の使用促進へ


生活保護費が増加するなか、財務省は生活保護の受給者に対して後発医薬品の使用をさらに促すことで医療費の抑制を図りたい方針で、来年度予算案の編成で厚生労働省との間で調整が進められる見通しです。


高齢者世帯が増えたことなどを背景に生活保護の受給者は増え続け、今年度の生活保護費は国と地方合わせておよそ3兆8000億円となり、リーマンショックが起きた6年前の1.4倍に上っていて、このうち、半分近くを占める医療費の抑制が課題となっています。


現在、生活保護の受給者には効能が同じ後発医薬品がある場合、原則的に後発医薬品を提供することになっていますが、本人が強く希望する場合は通常の医薬品も提供しており、その場合でも費用は生活保護の医療費の中で負担しています。


財務省では、これを改めて医療費を支給する際には後発医薬品にかかる費用を基準とするよう求めることにしていて、財務省の試算によりますと、こうした取り組みによっておよそ490億円が削減できるとしています。


一方、福祉関係者などからは生活保護の受給者の必要な医療を受ける権利が奪われかねないといった反発が出ることも予想され、来年度予算案の編成で厚生労働省との間で調整が行われる見通しです。




財政難から後発医薬品の普及を図りたい国としては当然の対応だと思います。生活保護の方は先発医薬品を希望する場合が多く、医療の現場でも一般人との逆転現象が起こっています。


NHKニュースの最後に、”福祉関係者などからは生活保護の受給者の必要な医療を受ける権利が奪われかねないといった反発” とありますが、どのような反発なのか理解できません。


建前上は、後発医薬品の効用は先発医薬品と同等です。福祉関係者は正面切って「後発医薬品の効用は、先発医薬品に劣る」と主張するのでしょうか?


後発と先発医薬品の差については別の機会に譲るとして、490億/3兆8000億円と1%強ではありますが、生活保護費削減への第一歩を踏み出したことは非常に評価できると思います。


弱者救済のポピュリズムが絡むのでなかなか正面から向き合いにくいですが、制度疲労を起こして保護率20%の生活保護制度よりも、ベーシックインカム等の導入を検討するべきでしょう。


      
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