先日のことですが外来をしていると、母指を強制外転してから母指基部内側の痛みが続くという患者さんが初診されました。


圧痛部位はMP関節内側部で、単純X線像では母指基節骨内側基部に裂離骨片を認めました。裂離骨片はかなり転位していたのですが、ストレス撮影では健側とあまり変わりませんでした。


以前にもブログに書いたように、母指MP関節尺側靭帯損傷(UCL: ulnar collateral ligament)がStener lesionに至っているのか否かの診断は、ストレス撮影が最も推奨されています。


adductor aponeurosisが繊維方向に断裂していない状態では、UCLがadductor aponeurosisを乗り越えないので、ストレス撮影を契機にStener lesionとなる可能性は低いと考えます。


母指MP関節伸展位のストレス撮影で、健側比15度以上の傾斜角度を認める症例は手術を勧めるべきです。しかし、Stener lesionの診断に自信を持てない場合はどうすれば良いでしょうか?


Stener lesionでは母指MP関節に高度の不安定性を残します。具体的にはペットボトルを把持できずに落としてしまうと訴える方が多いです。


やはり、日常生活でかなり困ることが手術の契機となるので、日常生活で困らない程度の不安定性であれば、Stener lesionではなく単なる母指MP関節尺側靭帯損傷だと思います。




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