先日、足関節脱臼骨折(SE stage 4)の手術がありました。
SE stage 4では、3ヵ所の皮膚切開が必要である症例が多いです。


しかし、足関節周囲という小さな表面積の部位に3ヵ所の皮膚切開を加えると、局所循環を毀損してしまい創治癒不全を併発するリスクが高まります。


私は内果骨折に対しては、基本的にtension band wiringを好んで選択しています。これは、スクリュー固定と比べて、粗鬆骨に対しても圧倒的に固定力が強固だからです。


しかし、最近は少し考え方が変わってきました。というのは内果骨片の転位が小さな場合、敢えてtension band wiringを選択する必要性は無く、スクリュー固定で充分だと気付いたからです。


特に整復不要例では、cannulated screwを利用することで経皮的に固定することが可能です。3ヵ所の皮膚切開のうち2ヵ所が小切開の場合、局所循環が温存される可能性が高いです。


術直後からの早期荷重を行うのなら、さすがにスクリュー固定だけでは不安です。しかし、SE stage 4の場合、多くの施設で3週間ほどの免荷期間を置いていると思います。


3週間も免荷するのなら、tension band wiringではなくスクリュー固定で充分なのではないでしょうか。局所循環が温存されると骨癒合も促進されます。


内果の転位が許容範囲内であるのなら、積極的にcannulated screwを利用して経皮的に固定することで、足関節周囲の局所循環を温存しようと思います。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

整形外科医なら誰もが所有している骨折治療のバイブルです。豊富な図や画像が提示されており、骨折手術におけるAOの考え方や基本原則を学べます。



                                             

                                  
AO法骨折治療