整形外科の勤務医をしていると、大腿骨近位部骨折の治療はほぼ必須と言ってよいでしょう。治療のメインはやはり手術ですが、もちろんリハビリテーションや骨粗鬆症の治療も重要です。


しかし、実はそれだけでは患者さんの生活が完全に回復しないことが多いです。というのは、このような骨折は認知症に付随して発生することが多いからです。


骨折や骨粗鬆症を治療しても認知症が残存するケースがほとんどです。この場合、特に1人暮らしの患者さんが退院して元の生活に戻っても、再骨折して病院に舞い戻ってきがちです。


このようなケースでは、1人暮らしを続けざるを得ない等の個々の家庭の事情があるため、私たち整形外科医が患者さんにしてあげられることは多くないのが実情です。


しかし、ある程度までの認知症なら1人暮らしも続けられる可能性があります。認知症患者さんが、1人暮らしを続けるためには下記の3つの確保が重要となります。


   1. 食事
   2. 見守り
   3. 移動手段


食事は、多くの会社が宅配食サービスに参入しているため種類も豊富にそろっています。近くにコンビニエンスストアがあれば便利ですし、通所介護に通えばそこで食事を取ることができます。


見守りは、地域のネットワークに加えて、警備会社のホームセキュリティサービスや、家電に搭載された見守り機能などの利用可能です。


移動手段に関しては、まだ課題が多いのが現状です。認知症になると運転免許証の返納を求められますし、地方では公共交通機関が貧弱な地域も多いです。


このように最大のネックは、地方在住の認知症患者さんの移動手段確保ですが、昔に比べたら地域差はあるものの、1人暮らしを続けられる最低限の条件は整い安くなりました。


食事以外の家事支援なら、公的介護保険サービスの訪問介護でヘルパーに頼んだり、割高ではあるものの民間の家事代行サービスを利用可能です。


退院調整にあたって、上記の3つの事項(食事・見守り・移動手段)の確保を考えて介護保険の主治医意見書を記載したり、家人やケアマネージャーさんと調整すると良いと思います。



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