Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
電子たばこを吸う若者はのちに紙巻きたばこも吸うようになりやすい です。




米国の青少年を対象に実施された新研究で,非喫煙者の電子たばこ使用は通常の紙巻きたばこ喫煙も助長しやすいことが示唆された。米・University of Pittsburgh School of MedicineのBrian A. Primack氏らが,JAMA Pediatr(2015年9月8日オンライン版)で報告した。


喫煙者においては,電子たばこが喫煙本数を減らすのに有用である可能性が,複数の研究で示されている。その一方で,成人を対象とした観察研究において,電子たばこの使用開始後に,完全に喫煙する者はめったにいないことが報告されている。


さらに,電子たばこのマーケティングが非喫煙者の取り込みに焦点を当てることも可能で,実際,青少年の電子たばこ使用率は上昇しており,2014年の米国の調査では,高校生の13.4%が過去30日間に電子たばこを使用したことがあると回答している。 


Primack氏らは,電子たばこの使用が通常の喫煙への移行と関連するか否かを検討するために,2012~13年に,一度も喫煙歴がなく,さらに,喫煙に対する態度の調査で,喫煙の影響を受けにくいと判断された若者694例(年齢16~26歳)を登録して喫煙に関する質問票調査を行い,1年後に再調査した。


喫煙に対する態度は,「友人に紙巻きたばこを勧められたら自分も試してみるか」「来年は自分も喫煙していると思うか」という2つの質問で評価し,「絶対にない」と答えた者を登録した。 


評価項目である「喫煙への移行」は,以下の3段階で評価した。
① 喫煙を開始しておらず,喫煙しないという意志も維持している
② 喫煙は開始していないが,喫煙しないという意志は揺らいでいる
③ 喫煙を開始した


全体の53.9%が女性で,76.5%が白人(ヒスパニックを除く)であった。調査開始時に16例(2.3%)が電子たばこを使用していた。1年間の追跡で,調査開始時の電子たばこ使用者16例のうち11例(68.7%),非使用者678例のうち128例(18.9%)が②や③に移行した。 


背景因子を調整して解析したところ,調査開始時の電子たばこ使用と,通常のたばこ使用への移行との間〔調整後のオッズ比(AOR)8.3,95%CI 1.2~58.6〕,喫煙に対する態度の揺らぎとの間(同8.5,1.3~57.2)に独立した相関が認められた。これらの結果は感受性解析でも維持され,AORは若干高まった。


Primack氏らは,調査開始時の電子たばこ使用者が少数であったことから,今回の知見をそのまま公衆衛生上のリスクと解釈することはできない可能性を認めた上で,「若者の間で電子たばこの使用が急増していることを考慮すると,今回の知見は,青少年への電子たばこ販売や,電子たばこを魅力的に見せる広告に対する規制を支持するものである。若者における電子たばこ使用の監視を続け,他のたばこ製品の使用との関連で捉えることは重要であろう」と指摘している。


米国小児科学会(AAP)のJonathan D. Klein氏は,同誌の付随論評(2015年9月8日オンライン版)で「今回の知見は,若者に対する電子たばこの影響が実際に存在すること,電子たばこが非喫煙者にとって有害であること,社会や公衆衛生に実質的な害が及ぶことを示している。


現在,多くの人が電子たばこの害と便益が不明であることを指摘しており,さらなる研究の必要性を論じているが,これらのデータは電子たばこ使用が通常の喫煙につながることについて強力かつ縦断的なエビデンスを提供するものである」と指摘している。 


さらに同氏は,電子たばこが通常の喫煙に結び付く理由として,ニコチン中毒を挙げ,「この問題に関してさらなる研究は必要ない。既に,エビデンスと,非喫煙者を電子たばこや他の形態のたばこから守る方策はそろっており,今後必要なのはエビデンスにのっとった政治的行動を起こし,若者を保護する意志である」と述べている。





私は非喫煙者なので電子たばこには興味がありませんが、今回の報告で電子たばこが非喫煙者に悪影響を及ぼすことを知り驚きました。


販売業者によってはその禁煙効果を謳っています。ニコチンには身体的依存と精神的依存がありますが、ニコチンなしの電子たばこについては香料の含まれる気体を吸うだけです。


このため、電子たばこでは身体的依存によるニコチン摂取量低減などの医療的な効果はほとんど期待できず、口寂しさを紛らわす精神的依存の解消効果に留まると言われてきました。


しかし、電子たばこの使用が若年者の通常の喫煙へとつながる傾向があるのなら、精神的依存の解消などと悠長なことを言っている場合ではないと思います。


日本では未成年者への電子たばこの販売に法的規制はないそうですが、ニコチンを含まない電子たばこであっても喫煙へとつながる傾向があるので販売を規制するべきだと思います。



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