小さな子供が自転車の車輪に足を巻き込まれる事故は非常に多いと思います。感覚的には2~3ヶ月に一度ぐらいは診察する機会があります。ほとんどの患児は踵部の挫創です。


踵部やアキレス腱部の挫創は小児といえどもなかなか治癒しないので、結構長い間通院されている印象を受けます。この部位の外傷は
degloving損傷と類似の病態なのかもしれません。


通常、骨折を併発することは少ないですが、ときどき脛骨遠位端の若木骨折や脛骨遠位骨端離開を併発することがあるので注意が必要です。


小児の自転車車輪への足部巻込み事故では骨折は無いというジンクス(?)は存在しません。このため、踵部やアキレス腱部の外傷を外科医のみに任せることは危険だと思います。


踵部が自転車の車輪に巻き込まれるということは、かなり強力な捻れの力が足部に加わることになるので骨折を併発してもおかしくないのです。


骨折が無い場合には創処置を続けて治癒するのを待ちますが、夜診などで日替わり担当医に任せきりだと、デュオアクティブ貼付などの処置が延々と続けられるケースが多いです。


踵部やアキレス腱部は、小児であっても治癒し難い部位であることを念頭に、きっちりと段階を踏んだ創処置を行うべきだと思います。



       ★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です




                         

             
救急・当直で必ず役立つ!骨折の画像診断