大腿骨転子部骨折術後の患者さんが、転倒後2週してから歩行不能となりました。
転倒後は痛いながらも歩行可能だったのですが、徐々に疼痛が増悪したとのことです。


頚部骨折 - コピー


少し分かりにくいですが、単純X線像では大腿骨頚部骨折を併発していました。この方は2年前に他院で大腿骨転子部骨折に対する骨接合術を受けています。


画像上は明らかに大腿骨頚部骨折なのですが、short nailが挿入されている状態で大腿骨頚部骨折を併発した患者さんは経験したことが無いので、2年前の画像を取り寄せました。


他院の画像と比較すると、やはり大腿骨頚部骨折を併発していました。おそらくGarden stage 1だった骨折が荷重歩行しているうちに圧潰して短縮したのだと思います。


大腿骨転子部骨折術後の人工骨頭置換術は結構難しいので気が重かったのですが、何とかセメントの人工骨頭を挿入して手術を終了しました。


大腿骨頭の割面を観察すると、骨折部よりも中枢側の大腿骨頭が虚血状態であることが分かります。大腿骨頭壊死症を併発しているので、放置しているとbrade先端が穿破するところでした。


割面 - コピー



大腿骨転子部骨折の受傷機転は大転子部への直達外力ですが、大腿骨頚部骨折は股関節への回旋力が受傷機転となることが多いです。


このため、大腿骨頭に1本しか挿入しないタイプのshort nailは、2本挿入するタイプと比べて、大腿骨頚部骨折を併発するリスクが少し高くなるのかもしれません。


いずれにせよ今回はかなり珍しい症例だと思いますが、short nailが挿入されていても大腿骨頚部骨折を併発することがあることを学びました。



★★★  管理人 お勧めの医学書  ★★★

豊富な図や画像が提示されているため、ほとんどの骨折や脱臼に対応することが可能です