私が勤めている病院は、手洗いできる手術室スタッフが3名体制で動いています。年間手術件数と比較して極端に人員が少ないですが、経営陣の方針(?)で今までやってきました。


医療機関には珍しく高収益な病院で、ひとえに現経営陣の手腕に因るものです。しかし、徹底的にコストカットする経営方針は思わぬところで綻びが出てきました。


手洗いができる手術室スタッフ3名のうち2名が相次いで出勤できない事態に陥ってしまったのです。このため、残された1名に多大な負担が掛かってしまいました。


大車輪の働きで手術をこなしてくれているのですが、いかんせん1人で院内の全ての手術症例を引き受けるので、並列手術が不可能になってしまいました。


医師も部屋もあるのですが、手術室スタッフが居ないために延々と縦で手術を施行せざるを得ないのです。このような事態は以前からある程度は危惧されてきました。


しかし、手術室スタッフが皆元気に働いていたので、今回のような危機的な状況は一度もありませんでした。専門性の高い手術室スタッフだけに、病棟から応援を頼むわけにもいきません。


今回は何とか現場のパワーで乗り切る予定ですが、今まで正視してこなかった問題点を改善する良いきっかけになったと思います。ぎりぎりのマンパワーではどこかに綻びが来ます。


今回の事態は現場の声を拾ってこなかった経営陣の責任ですが、中間管理職である私たちにも責任があると思います。危機管理に対してどこか甘えがあったのでしょう。


今回の事件で手術室スタッフが増員に成れば問題は解決されますが、実はもっと大きな問題があります。それは医師が倒れた場合には、手術室スタッフ以上に代替が利かないことです。


例えば1~2名の常勤医のみで業務を回している場合、たった1名の欠員でさえも現状の体制を維持することは不可能です。これに対する解決法は医師の人数を増やすことのみです。


しかし、この解決法はハードルが高くて如何ともし難いです。このあたりの危機管理で、良い解決法はなかなか無さそうですね。



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