Medical Tribuneで興味深い記事がありました。
飛行中の急病人に対応する医師を登録 日医とJALが提携 です。




飛行機での移動中,「お客様の中にお医者様は...」という機内アナウンスに遭遇した読者はどれくらいの割合になるだろうか。日本航空(JAL)によると,年間のフライト数およそ1,000便(国内・国際線の合計)に対し,毎日ほぼ1件,年間で350~360件だという。


日本医師会(日医)とJALは昨日(2016年2月3日),2014年から日医が運用を始めたカード型の医師資格証とJALマイレージバンクを利用した,「JAL DOCTOR登録制度」を開始すると発表した。



まずは医師資格証の普及から  



医師資格証は,持ち歩くことのない医師免許に代わり,医師の資格があることを日医が電子認証したカードで,日医の会員でなくても発行申請できる。しかし,認証を正当に行うため,申請に必要な書類が煩雑であることなどから,現在の発行数は2,500枚程度にとどまっている。


日医常任理事の石川広己氏は自身の経験から,「医療施設以外での医療行為は,まず『あなたは何者?』という(訝しさを含んだ)問いかけに答えるところから始まる。資格証があれば,すぐに医師であることを証明できるので,急病人も安心する」と資格証の利点を指摘し,「善きサマリア人」を実践する後押しになるものだと説明した。



今回の同制度は,医師資格証のIDや医籍登録番号などを使って,専用のマイレージ会員ホームページで医師自らが登録を行うもの。もともとJALでは,機内での医療行為に対し,医療従事者の賠償責任を担保する保険に加入しており,さらに,救急専門医から医療助言を得られるメディカルコールセンターも保険範囲でカバーされている。そうした素地もあり,日医からの申し出に対して提携までがスムーズに行えたという。


同制度は2月3日から登録が開始され,制度自体の運用は同15日に始められる。フライトに際し,パイロットやキャビンアテンダントには担当する便の搭乗者リストが用意されるが,登録済みの医師がリストに含まれる場合は,その情報が共有されることになる。


従来のように急病人が発生してから機内アナウンスをする必要がないため,迅速に医療行為を始められるメリットがある。もちろん,搭乗前・搭乗中の飲酒などにより医療行為が行えないなど,あらかじめ事情を伝えておくことも可能だ。




物的・人的充実への取り組み  


JALでは1993年に医師資格者にのみ使用が許されるドクターズキットを搭載以来,機内の医薬品・医療機器の充実を図ってきた。2001年に導入された自動体外式除細動器(AED)には,小型の心電図モニターも装備され,今年(2016年)1月からはパルスオキシメーターも新たに蘇生キットに追加。


また,年間350件前後の急病人発生率に対して実際に応じる医師(または看護師)はおよそ半数ということだが,これまでに機内での医療行為が訴訟に至った事例はなく,物的充実とともに人的充実にも積極的に取り組んでいる。  



今回の日医との提携に際しては,同種の制度を持つ独・ルフトハンザ航空を参考にした。日医とJALの提携は,2年ごとの期限で更新をしていく予定。国民の健康を守り,安心・安全な航空旅客輸送をサポートするという日医の目的で実現された同制度だが,国内の他の航空会社にも導入を働きかけていく方針だ。






これは、結構微妙な話だと思いました
。確かに急変する患者さんのことを考えると、同乗している医師が能力を発揮することは悪い話ではないです。


しかし、ただでさえも劣悪な環境下でロクな医療機器も無い状況で対応できることは極めて少ないと思います。私は経験無いですが、機内の騒音のため聴診さえも難しいことが予想されます。


今回は「医師資格証」を普及させたい日本医師会の働きかけにJALが応じた形のようです。一応、JAL DOCTOR登録制度に参加すると、JALのラウンジを利用できるそうです。


しかし、よく考えると「医師資格証」ではなく、事前に医師免許証のコピーなどで本人確認してJAL DOCTOR登録制度を運用すれば良いだけの話ではないでしょうか?



「医師資格証」を取得するためには、医師の認証を正当に行うための煩雑な書類申請をする必要があります。医師免許証ではなく医師資格証を要求される意味が良く分かりません・・・。


機内応召に応えるのは、医師としての職業的倫理観からです。もちろんラウンジを利用できるのはありがたいですが、そのために面倒な医師資格証を作るヒマ人はあまり居ない気がします。


そもそも、日整会カード(MUFGカード)で空港ラウンジは無料で利用できるし、プラチナカード以上の所有者ならPRIORITY PASSで、JALを含めた航空会社のラウンジを無料で利用できます。 


 
医師にとって、ほとんどメリットが無いと思われる「医師資格証」 ですが、今回の事案は普及のための日本医師会の布石なのでしょうか?


医師免許証コピーの提出だけでOKなら、私もJAL DOCTOR登録制度に参加するかもしれません。しかし、わざわざ手間隙掛けて医師資格証を作ってまで参加しようとは思わないです・・・





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