最近では厚生労働省の方針に従わざるを得ない状況になってきたので、ほとんどの患者さんに対して一般名処方を行っています。


一般名処方すると調剤薬局で先発医薬品とジェネリック医薬品のどちらかを選択しますが、薬剤師からジェネリック医薬品を勧められるケースが多いと思います。


このため、こちらは先発医薬品を念頭に治療しているにも関わらず、充分な治療効果を得ることができない症例を多く経験することになりました。


当初は、ジェネリック医薬品は効果が一定ではないことを説明していましたが、全員に同じ話をするのもしんどくなったので、何も言わずに処方するようになりました。


処方した薬の効きがイマイチの場合にはお薬手帳を拝見しますが、やはりジェネリック医薬品を服用している方が多い印象です。最初の頃は「自業自得だな」と思っていました。


薬代をケチった患者さんが悪いと思っていたのです。しかし、良く考えると大々的にジェネリック医薬品は「安価なのに先発医薬品と同じ効果を得ることができる」と宣伝されています。


実臨床でのジェネリック医薬品と先発医薬品との差異など、一般の患者さんは知る由も無いことに気付きました。つまり、情報弱者の患者さんは被害者だったのです!


詳細はこちらに譲りますが、「ジェネリック医薬品は安価なのに先発医薬品と同じ効果を得ることができる」という戯言を信じる臨床医はあまり居ないと思います。


しかし、患者さんにはその情報が伝わらないのです。これって、一種の誇大広告ではないか?と思うのですが、厚生労働省の方針なので仕方ありません。


ジェネリック医薬品で効果の無かった患者さんに、敢えて先発医薬品を処方する医療行為は、効果が無かった場合には経済的負担まで発生するリスクを伴います。


したがって、余程のことが無い限りジェネリック医薬品から先発医薬品に変更するケースは無いですが、本当にこれで良いのか? と良心の呵責に苛まれることがあります。


私はジェネリック医薬品に反対なのではなく、「ジェネリック医薬品は安価だが、必ずしも先発医薬品と同じ効果を得るわけではない」という正しい情報を患者さんに提供して欲しいだけです。


正しい情報を提供されてジェネリック医薬品を選択するのは自業自得ですが、正しくない情報を提供されても、ジェネリック医薬品の可否を正確に判断することはできないからです。


このあたりは、厚生労働省にもう少し善処して欲しいと思います。ちなみに、私は絶対にジェネリック医薬品を服用しません(笑)。



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