先日の人工股関節全置換術(THA)の際、興味深いことを教えてもらいました。
臼蓋形成不全が高度な症例では、カップのリーミングの位置に悩むことがあります。
術前計画の際に寛骨臼上縁からカップ上縁までの距離を計測することで、適切なリーミング位置をある程度は判断することができます。
しかし、寛骨臼上縁の骨棘の形は方向によって異なるため少し正確さに欠けます。これはある程度仕方無いことだと思っていましたが、寛骨臼下縁からの距離も指標になることを教わりました。
寛骨臼の6時方向にエレバトリウムを挿入して、そこからリーマーの下縁までの距離が、ちょうど単純X線像では涙痕線からカップ下縁までの距離に相当します。
このように寛骨臼上縁からと下縁からの両方の指標を用いることで、カップ設置位置が適切か否かの判断がより正確になります。
私の場合、寛骨臼上縁は10mm平ノミをメジャー代わりにして、上縁からの距離を寛骨臼内にマーキングします。 寛骨臼下縁は、軽くリーミングした後にエレバトリウムを挿入して確認します。
このような簡単な工夫で、高度の臼蓋形成不全股であっても術前計画通りの位置にカップを設置することができる可能性が高まると思います。
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