先日、橈骨遠位端骨折に対する掌側プレートを用いた骨折観血的手術がありました。掌側プレートを用いた手術の最大のヤマ場は、遠位最尺側へのスクリュー刺入だと思います。



このスクリュー(ピン)の刺入を至適位置にキメルことができれば、後は流れ作業のように手術が終わります。しかし、立体認知能力に劣る者(=私)にとっては容易な手技ではありません。


過去にもご紹介したようにいろいろ工夫していますが、症例によってはなかなか満足のいく位置にスクリュー(ピン)を刺入することができず、ストレスが溜まることも多かったです。


しかし、同僚が発案した工夫でストレスから解放されました。最遠位尺側へのスクリュー刺入が難しいのは、骨片とプレートの位置関係を3次元で考えて調整しなければならないからです。


3次元で考えると難しいのですが、2次元にすることで随分難易度は下がります。具体的には手台を脚の無いもの(木板等)に変更して 手術台を患側が下になるように傾けるのです。




キャプチャ



掌側プレートの遠位最尺側のスクリュー孔が正円になるように、手術台の傾きおよび前腕の回内外を調整します。上図では遠位最尺側のスクリュー孔に仮固定用スリーブを付けています。


スクリュー孔が正円になれば2次元でプレートの位置を調整します。掌側プレートの遠位最尺側のスクリュー孔を至適位置に誘導して、そのまま鉛直方向にドリリングするだけです。


この手技を採用すると 2次元の位置調整のみになるので、
掌側プレートを至適位置に簡単に誘導することが可能となります。興味のある方は一度試されてはいかがでしょうか。





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